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まあいい。つまりだ。下山に失敗すれば、ジーナちゃんもリオちゃんも、相手(の親。というか、家)から、難色を示されるかもしれない。その結果、婚約がなかったことになる可能性はある。
しかし、ジーナちゃんにしても、リオちゃんにしても、そういう器用な立ちまわりはできそうになかった。どちらも真面目な子なのだ。わざときらわれるような工作をするとか、そんなのはできない。ジーナちゃんはミューくんとの結婚をいやがっているし、リオちゃんは家同士の結束だとかのしがらみをいやだと思っているようなのに、結局はお家のことを考えて行動する。
そういう子達だった。ミューくんだって、リッターくんだって、サキくんだって、口は悪いけれどユラちゃんも、お家のことを大切にしている。
ほーじくんだってそうだ。
一の門方面へ、ランスさんが歩いていくのが見える。ルーレウさん、それに、ファラワさんも一緒だ。ファラワさん、こっちに来てたんだ。なんかあったのかな。ファラワさんとルーレウさんは多分同期だから、それの関係かもしれない。あ、ズフダリフ先生も合流した。立ち停まって話しているが、上へ行くのか。
「ユラも悪あがきをしている」
リッターくんが云い、俺はそちらへ目を遣る。いつの間にか、サンドウィッチの包み紙はすべて回収していた。からっぽになった鍋をつっこんで、収納空間の口を閉じる。
「悪あがき? ユラちゃん、試験はもう大丈夫なんでしょう?」
「下山は心配ない、といいはっている」
ミューくんが警邏隊のひとり、知り合いらしいひとに、笑顔で恢復魔法をかけていた。
警邏隊が居なくなると、ミューくんは苦笑いした。「リッター、ユラは頑張ってるんだ。そんなふうに云ってやるなよ。応援してやればいいじゃないか、素直に」
「だが、下山に足るであろうに、しつこく先生がたに論文だとか、意見書だとかを出している。それは悪あがきと云うべきだ。教員になれるかどうかは瀬戸際だと、この半年で百回は聴いた」
「彼女はここに勤めたいんだから、仕方ないだろ。先生になるのって大変なんだぜ。ヒカリ卿がおっしゃっていた。あのヒカリ卿でも、随分審査に時間がかかったそうだから、余程のことだよ」
リッターくんが小さく鼻を鳴らすのを聴きながら、また、ランスさんへ目を向ける。遠目でもわかる綺麗な肌の、ガラ先生も一緒だった。いつあらわれたんだろう。ガラ先生は機嫌のいい日みたいで、にこにこしている。




