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リッターくんがサンドウィッチをとって、包んでいる紙を解き、ぱくついている。ミューくんはからになりそうなお鍋を覗きこんでいる。ほとんどに配り終えて、テーブル付近にはひとは少ない。ワウラさんはさっき、マグを持って戻り、また、汚れたマグを持って寮舎へ這入っていった。
俺はサンドウィッチの包み紙を回収している。その辺にぽいぽい捨ててしまうひとも居るけれど、それまでは回収しない。戻ってきてテーブルに置いていったひとの分は回収する。警護班も警邏隊も数人単位で動いているから、そのなかの誰かが代表して戻すのだ。大概は、一番下っ端のひと。警邏隊の分は、最近はよく、ヨーくんが持ってきてくれていた。マオさんと話したいので、と可愛いことを云って。
リッターくんが口のまわりをソースだらけにしている。ミューくんは苦笑いで、手巾で拭ってやっていた。
「ミューくんは、試験はもう心配ないんじゃなかった?」
「ええ」
俺の質問に、ミューくんは簡単に頷く。あのー、下山試験って、そんな簡単なもんじゃないと俺は聴いてたんですが。
ミューくんにとって、御山でのあらゆる試験は簡単なもののようだ。一年の時も、二年になってからも、彼が追試を喰らったことは多分ない。聴いたことがない。入山試験だって即・合格だった。ミューくん、御山基準だと素晴らしい学生さんなんだろうな。もしかしたら、性格も評価の対象だったりして。それは流石にないか。
ミューくんは俺が、あまりにもあっさりした試験への態度にうっすら戦いているのになど気付いた様子なく、肩を軽くすくめた。
「俺はどうでもいいんです。ジーナのことが心配でした。彼女、凄く些細な失敗で、落ち込んでしまっていて。もういいのかと思ったら、結局二度、三度と試験があって、失敗が響いたのだって」
「あ……そうなんだ」
ジーナちゃんも、下山は間違いないみたいに云われていたのだが、そうか、追試、あったのか。
入山試験と一緒で、たまに不条理だ。入山試験は明らかに成績のいい子でも落ちることがあるとか、成績悪くてもめずらしい特殊能力はさくっとうかるとか、噂だが聴いている。先生の推薦があったらほぼ間違いないとかさ。それは嘘らしいのだが、推薦があったら有利なのはそうみたいだし。
下山試験も、これまでの二年間に対する先生がたの評価みたいなのが、響くのかな。だとしてもジーナちゃんは、普通にずっと、成績よかったそうだが。




