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六月二十日、朝食を外へ運んで、警護班や警邏隊に配っていると、リッターくんとミューくんがやってきた。
なかなかめずらしいとりあわせである。ミューくんはリッターくんを未だに、少々苦手にしている節があるし、リッターくんは癒し手へのあこがれが強すぎて、ミューくんへの態度が露骨に甘い。なので、ふたりで行動するのはめずらしい。
ふたりが一の門方向から歩いてくるのを見て、ちょっと、きょとんとしてしまった。以前ほどミューくんが避けている訳ではないが、それでもふたりで行動するというのはほぼない。サキくんや、ジーナちゃんが一緒なのが普通。
ミューくんがぺぺっと手を振って、きらきらが見えた。リッターくんを治療したらしい。俺は目はいいのだ。リッターくんがちょっと、ミューくんににじり寄って、いつもみたいに避けられているのが見えた。いつも通りで安心する。
朝食を配るのを手伝ってくれていたワウラさんが、ふたりに気付いた。「あら、マオ、あんたにお客さんみたいね」
「あ……そうかな」
首を傾げる俺に、ワウラさんはちょっと呆れたみたいに云う。
「それ以外にある? 警護班に用事があるなら、呼びつけりゃいいじゃないの。警邏隊やなにかだとしても、こっちに連絡してから来るでしょ。あたしらだってそれを聴く筈」
そりゃそうだ。先生を訪問するのだとしたら、今から某卿がいらっしゃるっていうのは、俺達の耳にも届くだろう。おもてなしでお茶だのなんだのを用意しないといけない。秘密の会合なら、上でやる。
「給仕くらいあたしでもできるから、ちょっと話してきたら。これついで、サンドウィッチと一緒に渡しゃいいんでしょ」
頭を振った。サンドウィッチはまだ大半、俺の収納空間のなかだ。全部出したらテーブルにのらない。テーブルにのせた分は、警護班や警邏隊達がひょいひょいさらっていっているから、見る間になくなる。
それにミューくん達は、俺が手を停めるのをいやがりそうだった。お仕事の邪魔をしたいのではありません、と、ミューくんがあの、やわらかいけれど意志の強い調子で云うのが、想像できる。
「もし俺に用なんだとしても、ここで少し話せばすむことだと思うよ」
「そうお?」
ワウラさんと話しているうちに、ふたりが歩いてきた。やっぱり、俺に用事らしい。警護班がふたりから少し、距離をとっている。どちらも学生さんだし、お家柄はとてもいい。リッターくんは護衛士でもある。警護班が敬意を払うのは当然だし、粗相をおそれて距離をとりたくなるのも当然だった。




