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ディロさんがそのまちで暮らしている間、還元過多は一回しか起こらなかった。それでも大変さはわかったという。警邏隊は全力で戦ってくれたが、腕に覚えのある旅人や、各家に雇われている傭兵も奮戦した。
最終的には、本来戦う為に雇われては居ない家政職のひと達も、武器を運んだり食事を用意したり、癒しの力持ちは怪我の治療にあたったりした。普通に武器をとって戦うひともね。ディロさんはそう。
こっちのひと達は多かれ少なかれ魔物と戦ったことのあるのがほとんどで、慣れていると云えば慣れている。それに、そこで自分も戦うなり支援するなりしないと、結局は命が危うくなる。なので、それについて必要以上に文句を云うひとはなかった。ディロさんも、黙々と戦った。彼女は結構体力があるので、戦おうと思えばできる。俺やサフェくんとは違うのだ。
「レントで起こる還元過多と比べれば、魔物の数は全然、たいしたことなかったんだけど、なにしろ戦える人間が少ないから。やっぱり、死者は出ちゃったの。わたしが居た時でも」
「傭兵ですか?」
「うん。たしか、五人。それと、警邏隊もひとり。還元過多は起こりにくいけれど、起こった時がこわい。そういう規模のまちや、もっと荒れ地に近い村は」
人数が多くないのにそれだけの死者が出るのだから、甚大な被害と云える。レントでの還元過多では、怪我人は出ても、死者は出ないほうが多いと思う。起こる頻度は高いが、警邏隊という対策もできている。
「そういうことが、わたしが別のまちへ行ってからも何度もあったみたい。しばらくぶりに会った知り合いに、あのもめごとのふたり、同じ還元過多で……って聴いたの」
「ずっと、そのひとに雇われてたんでしょうね」
「そうみたい。賠償金もかしてくれたんだし、感謝してたでしょうね。傭兵、っていうか、そういう稼業のひと達って、義理がたいから。戦わない人間を下に見るのはやめてほしいけど」
苦笑いしている。成程、ああいう態度は、警護班だけの話ではないのか。一般人に雇われてても、戦ってる傭兵のほうが、家政職よりも大きい顔をしている、と。
結局、そのまま食事の時間が終わるまで、俺は食器洗いや給仕の手伝いなどをした。助っ人に来てくれた人数が多かったので、さほど疲れた感じもなく、お風呂にはいってから部屋へ戻る。なんだかいろいろあったな、と考えて、ルミナさんやリョウくん達のことを思い出した。また、彼らには会いたい。リョウくん達は「仲間」の顔を知っているから、絵を描いてもらうとか……。




