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ディロさんがかつて居たまちには、警邏隊が居たものの、人数は少なかった。警邏隊内には癒し手がふたり居て、あとは戦える職業であろうひとが十人居ないくらい。
そんなまちで還元過多が起これば、そりゃあ警邏隊だって戦うが、手がまわる筈がない。住民達も戦わざるを得ないし、住民達が傭兵を優先的に雇うのもわかる。それも、駆使魔法をつかえる傭兵なら、戦力としては数人分である。手放すのが惜しい気持ちはわからんでもない。
警邏隊の配備人数が少ないところは危険すぎる気がするのだが、案外、そういう場所では還元過多自体があまり起こらないのだという。荒れ地が近い程、還元過多は起こりにくいとディロさんは思っている。統計をとったのではないが、いろいろなまちで暮らして、そうだったらしい。
「それは僕も思う」
サフェくんが俺を見て云う。「多分だけど、荒れ地に近付くほど、素が少ないんじゃないかな。そういうことを云うひとが居て、僕は納得したから、そう思うんだけど。素が少ないから、還元をするとすぐに完全に還るんだ、って。世界にね」
「えーっと、素が偏ってるってこと? 荒れ地じゃない場所に」
サフェくんはちょっと頭を振り、しかし頷く。
「そういうことなんだけど、なんていうか……ひとが多く住んでいるほうが、還元過多は起こるでしょ。還元を沢山して、素が沢山あるからだよね。ひとが少なければ、素も少なくなる」
「うん」
それはわかる。レントでは還元過多がたまに起こるが、ほかのまちよりも頻度は高いようだ。
御山でも稀に起こるけれど、そんな還元してる? って思ってたが、おそらく資料関係で廃棄処分になるものが大量にあるのだろう。御山から出せない資料は、還元するしかない。焼いたり薬品で駄目にするより、還元で跡形もなく消してしまうのは、本当に安全な廃棄方法だろうし。
「荒れ地の近くは、ただでも強力な魔物が居るから、昔からその辺りに住んでいるひと達か、余程、腕に自信のあるひと達しか、定住していないし。だから、還元も少ない。つまり、素が意識的に偏って存在しているのじゃなくて、人間の分布が偏っているからそれに伴って素も偏ってしまう。そういう意味だって、僕は読みとった」
そういうことか。素がそっちへ移動しないとか、荒れ地に素を跳ね返すなにかがあるってことではなく、素を漂わせることになる還元そのものが少ない、と。




