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「親しい相手に口が滑った、というのは、ないの」
「いっしょに……あちらは、ひとりで報告に、来たのでは、なかったので。警邏隊のひとが、あとふたり居ました。そのひと達が停めなくて、喋ったので、警護班に喋るのはかまわない程度のことだったのだって……」
ジャーラムくんがこんなに喋るの、なかなかないな。相変わらず、ちょっと辿々しかった。短い文章でもそうだけれど、長いと尚更だ。
彼、もう終わったのかどうか、判断しがたい喋りかたをする。慎重な性格なんだと思う。考えてから喋りたいし、喋りながらも考えている。俺みたいに失言が多い人間は、彼をみならうべきだ。……それができたら苦労しないんだけど。
ジャーラムくんは喋り終えたみたいで、口を噤む。肩をすくめる一歩手前みたいな動作をした。サフェくんがこちらを見る。「自慢したかったのかな」
「俺もそれ、考えてた。大きな事件を調べるのに参加してるんだって、そういうちょっとした自慢かなって」
「ありそう」
サフェくんはちょっと苦笑いする。警邏隊といえ人間、自慢したい気持ちになることもある。口止めされていないのなら、友人を見付けて話したくなることもあろう。
「その、結局、変なんだよね」
「やったこと自体はね」
「ジャーラムくんに簡単に話していいことなんだとしたら、傭兵協会はたいしたことないと思ってるのかな。それも変じゃない? とりしまってる側の警邏隊が、率先して決まりを破ってるのに、それを簡単に口外するって」
「うーん。もし、御山に訴えられたりしたら、厄介なことになりそうだけれど。どうでもいいと思っているのかな。よくわからない」
「変なことをしているのに、隠さないんだから、賠償金を払うのはもう諦めてるのか」
「と、思うけど」
首を傾げる俺に調子をあわせるみたいに、サフェくんもそうした。
ジャーラムくんが俺を見ている。なにか云いたげだった。
「ジャーラムくん、なあに?」
「……あの。あんまり、くわしくないんだって。意外だったんです」
また、辿々しい言葉遣いだ。もしかしたら、俺に対しての緊張があるのかもしれない。彼はディファーズ、それもその、上流階級の出身だった。天罰だの、荒れ地帰りだのがのっかってる俺に、尻込みしているのかもしれない。
「意外って?」
サフェくんが優しく訊いた。ジャーラムくんはぼそぼそっと喋る。「だって、魔物……駆使しているのに、気にしてなかったんだって」




