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「いったい、なにを考えてるんだろう」
サフェくんはちょっと眉を寄せている。不安そうなのか、不服なのか、どちらかよくわからない顔だった。いずれにせよ、感情が負に傾いているのはわかる。
ジャーラムくんが、クッキーをほりほり噛んだ。サフェくんがそれを仰ぐ。「ジャーラム、君の意見は?」
「……えっと……?」
「今回の、警邏隊のやったことについて」
「さあ」
ジャーラムくんは肩をすくめて、半分くらいになったクッキーを、ぽいと口へ放り込んだ。紺色の髪をさっと撫でつける。「あの……でも、たいしたことでは。ないと思います」
「どうして?」
「だって。簡単に喋っていたから」
サフェくんと目を合わす。揃って、あー、と、なんだか気がぬけたみたいな声を出してしまう。
ジャーラムくんの云うのは、もっともだった。警護班は、傭兵協会からすれば「外部」である。そりゃ、警護班は広義の奉公人で御山に所属しており、傭兵協会は御山の下部組織というか、なにかと御山にお伺いを立ててくる立場なのだが、それはそれとして。
彼らは別に、奉公人達が自分より上だとか、上司だとかは思っていない。そんなことはひと欠片も考えてはいまい。先生がたには敬意を払うし、云うこともきくけれど、奉公人は単なる下働きと認識しているひとがほとんどだからな。セロベルさんやアヤ先生みたいに、もともと御山に居たひとは、奉公人に対して丁寧だが、そうでないひとの態度にはむらがある。
といっても、先生に対するまで丁寧にするひとは居ない。精々同列、くらい。あ、警護班と一緒で、狭義の奉公人と警護班とを明確に線引きしているひとも、居た。
でも警護班と違って、そういうひとって何故か、俺達みたいな奉公人のほうを重んじる。多分、そういうひと達は、警護班と警邏隊を対立構造で考えているのだと思う。敵の敵は味方みたいな。別に警護班と対立したり敵対してるつもりはないが、一部の警護班がそういう態度だから。班長筆頭にな!
警邏隊にとって、広義の奉公人が自分達と同列だとしても、飽くまで外部の人間だ。御山に仕えている、という意味では一緒かもしれないが、雇われる経緯も所属している組織も働いている場所も違う。なら、内部情報は簡単には明かすまい。子どもじゃないんだから。あったことを友達にぺらぺら喋る迂闊な人間が、果たして警邏隊にはいれるか。




