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「もし、駆使されている魔物を見付けて、駆使魔法を重ねてしまった場合、罰せられる」
サフェくんが云い、ジャーラムくんが肩をすくめる。
「それって、泥棒ですもんね」
なんだかのんびりした云いかただったが、そうである。魔物屋さんで考えればわかりやすい。
売ってお金を稼いでいるってことは、魔物は商品価値のあるものだ。財産である。戦ってなんとか駆使した場合なんて、奪われたら本当に悔しいだろう。めずらしい魔物も居るみたいだし。
って、めずらしくなくても、価値が乏しくても、ひとのものを勝手に自分のものにするのは駄目なんだけど、どうもふたりの口振りだと、かなり厳しい決まりみたいだし、ちょっとしたものではなくしっかりと罰せられるようだから、それはやっぱり価値があるからなのかな、と考えた訳で。
捨てられてたと思って自分のものにしただけです、が通らないように、上書きは駄目って決まっている、と。考えりゃ当たり前なのだが、魔物って暴れたりしてこわいじゃんって気持ちがあるもので、駆使魔法かけといたほうが安全って思ってしまっていた。
警邏隊に保護された段階でそうするのかな、みたいなのを、考えるでもなく。だって皆さん、魔物をこわがるじゃないか。猫を飼うのにも魔法一覧をからっぽにしたりするのに、と、そんなふうに自分が経験したことが思い出されて、余計な先入観になっていたらしい。その辺りのこわい・こわくないの基準、こっちの世界のひとの気持ちがよくわからない。
「それも、例外はあるよ」
俺がぐだぐだと考えているのがわかったか、サフェくんは付け加えてくれた。
「例えば、駆使されている魔物に襲われて、駆使魔法を重ねていうことをきかせることで難を逃れた場合。それは罰せられてはいないの」
サフェくんが云ったことを、想像する。
「じっとしていろって命じて、自分への攻撃を辞めさせた。これは、正当な行為だったと認められたから、襲われた人間はなんの罪にもならなかった」
「……あー」
正当防衛の範囲内、だわな、そりゃ。
ナイフで刺されそうになって、ナイフを奪って捨てた、みたいなことだ。俺がもと居た世界でもありうる情況に焼き直すならば。
ナイフを奪って相手を刺せばよくないのかもしれないが、サフェくんが例に出したものでは、じっとしなさいって命じただけ。武器をつかえない状態にしたみたいなもの、だから、俺がもと居た世界でも正当防衛の範囲だと思う。




