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こっちの世界は、意外と多くのことが記録として残っている。智慧者や傍観者も居るし、俺が知らないだけで著述系の職業もあるのだと思う。
還元で紙が手にはいるし、インクやなにかも普通にその辺にある。子どもがお勉強に紙と鉛筆(の芯)やインクをつかっているのだ。大人がそれをつかえない訳がない。だから、記録媒体には困らない。
おまけに贋作家という人間コピー機が居るので、バックアップもとれる。帳簿はちゃんとつけてるしね、どこのお店も。商人協会だとか、職人聯合会だったかに上納しないといけないから。魔物屋はおそらく、購入者の名前やなにかも記録するんだろう。写真がないのが面倒だが、見た目の特徴やなにかを書いておけばある程度は、同一人物かどうかはわかる。能力証とか身分証の提示が要るのかもしれない。
「記録あるのは、便利だね。失くしちゃった時には」
「そうだね」
俺の子どもみたいな感想に、サフェくんはふふっと笑う。
「魔物は、買ったり譲られたりすることもあるけれど、自分で捕まえて駆使することもある。戦ったりして。マオは、そうだよね」
「まあ……そんなものかな」
一応認めた。ジャーラムくんがサフェくんを見て、俺を見る。サフェくんは云う。
「戦いは、証明できないよね。ひとりで戦うことだってあるし、誰かが見てくれてる訳じゃない。見てくれてたとしても、嘘を吐いてると思われるかもしれない。じゃあ、そうなると、戦って駆使した魔物について、誰に権利があるかっていうのは……」
発言を求められているらしいので、俺はちょっと考え、ひょいと思い付いて、口にした。
「ああ。え、駆使しているかどうかでわかる、ってこと?」
「そう」
ぼかんとする。
「でも、駆使されてるのがわかっても、誰が駆使してるのかまではわからないよね?」
「うん」
「じゃあ、どうするの」
サフェくんはジャーラムくんを仰いだ。ジャーラムくんはまた、戸惑ったみたいな顔になってしまっていた。ぼそぼそ、云う。
「誰が駆使しているかは、あの……わかりますよね。云うことを、きけば」
「……あ」
意味がわかって、苦笑で、大きく頷いた。
「わかった。そういうことか。駆使魔法をかけちゃったら、もともとかけていたのが誰かわからないってことだね。だから、拾ったひととか警邏隊がかけなおしちゃ駄目なんだ」
「そういうこと」
サフェくんが微笑んで頷く。そこまで考えが至らなかったのに、俺はまだ、苦笑いしていた。




