6741
人間の権利云々は、サフェくんの云うのがちょっと抽象的でわかりにくいけど、荒れ地で見付けた人間を捕まえたがるひとは居ないとは思うな。凶悪犯罪者か、捨てられたひとなのか、判断つかない。俺なら近寄らないね。超絶やべえ人間だったら反撃されて終わる。ダストくんは、俺が助けたのが先だから、あれは事情が異なる。荒れ地のことなんてなーんにも知らない時だったし。
……ていうか、もしゆるされてても、そこで人間狩りはハードル高くないか。もしかしたら、神さまの奇跡みたいなので生き延びたひとかもしれない。それを捕まえてしまったら、天罰くらいそう。ほかの地域よりも神さまに近いと思われている場所だから、そこで不敬なことをするのはまじで、こっちのひとにとっては恐怖なのではないか。
場所によって天罰の濃淡ある訳ないんだが、あるという認識で話すひとが多い。あ、違うのか? 特に神さまに近い場所だから、そこで天罰喰らうって特別に不敬、ってこと?
ていうかそもそも、奴隷とかなんとかは、どこの地域でも駄目だ。犯罪的にやりとりするとしても、リスクとリターンが釣り合ってない。その辺でさらってしまうほうが簡単でお金もかからない。荒れ地まで行く意味がない。要するに、荒れ地であっても誘拐は駄目ってだけ。
「荒れ地以外の場所では、基本的に持ち主に権利がある」
当然すぎて、相槌も打てない。サフェくんはもごもごと、云いにくそうに続ける。
「そっちにも例外はあるよ。ディファーズやシアイルの一部の話ね。その……ええっと、まあ、いいや。えっとね、つまり、貴族って云ってしまうけれど、そういう立場のひと達は、自分の配下の貴族が居ることがあるでしょう」
レフオーブル家とロヴィオダーリ家のようなことか。
頷く俺に、サフェくんは云う。
「そういう間柄だと、下の立場の家のものを、上の立場の家がもらうことがあるの。もらうといっても、そういう形式ね。実際は、いやだろうとさしださないとならない。そんなのは、最近は聴かないけれど、歴史書なんかを読むとたまに目にする。それはそもそもは、弱い立場のものの権利をまもる為のしきたりだったから、そういうつかいかたをするかた達も居るけれどね、今でも」
「はあ……」
「えっとね、そういう、荒れ地とか、特殊な信頼関係に基づいたもの以外で、どうやって所有を証明するかだけど、持ちものは売買の記録があればわかるよね。もしくは、譲られた記録。遺言書とか」




