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全部を見た訳ではないが、御山の(教育機関としての)歴史を考えれば、さほど多くもない。この作者は全作品だめ、とか、この出版社は全部だめ、とかはある。あのー、魔王・黒騎士研究系のやつとか、悪しき魂って実は悪くないんじゃないか系のやつ。読んだことなくてもタイトルでわかります。そのものずばりなので。
「あの目録にのってる作者って、二百人よりは少ないでしょ。そのひと達の著作で、持ち込み可能なものをまとめればいい。今度みたいな場合なら、それで事足りる。版によって違うかもしれないけれど、それも書いておけばいいし。えーと、誰だったっけ。持ち込めない本しか書いてないひとも居たよね。そういうひとは最初から弾けるから、楽じゃないかな」
サフェくんは、ぱっ、と、表情を明るくした。
「マオそれ、いいよ」
「え、ほんと?」
ジャーラムくんが頷いている。ほんとにいい考えらしい。
サフェくんは楽しげに、数回小さく跳ねながら、手を叩いた。「それ、先生がたに提案したら。こちらの業務が楽になるのは、先生がただってありがたいでしょ。今回、ルーレウさんは、山道を二往復もすることになったんだし……ほら、あとで戻ってくるから、そうでしょ? その時間が短縮できるのって、御山にとって、いいことだものね」
「そう? じゃあ、サフェくんから先生に伝えてくれないかな。俺はあんまり、くわしくないし」
それに、俺に対してあんまり好い感情を持っていない先生も居る。俺の発案だというだけで判断が遅れるのは、そんなにいい考えなら勿体ない。サフェくんが提案するほうが間違いがないだろう。
サフェくんは反論しようとしたらしかったが、不意に辞めた。小さな声で、わかった、と云って、目を逸らす。ジャーラムくんが俺とサフェくんを見ていたが、進行方向を見た。なんにもなかったみたいに。
お腹をすかせた様子で足早に広間へ向かう警護班とすれ違う。俺達に対して態度のいいひと達で、ちゃんと挨拶してくれたから、挨拶を返した。ジャーラムくんと仲好しみたいで、頭をぽんぽん撫でていく。あのひと達はいいひとって、覚えとこう。名前知らんけど。
おもてで空き間の警護にあたっている警護班や、警邏隊に、ご飯を配る。マルロさんとライティエさんが居たが、警護ではなくて、別のお仕事で先生がたと話していたそう。ふたりとも、先生がたとのお話で凄く疲れたらしく、三人前ずつくらい食べていった。




