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ユラちゃんが嘆くように云う。「なにを屁理屈を云ってるのよ」
マイファレット嬢はきょとんとしている。俺は云う。
「結婚すればなんとかなりそうだからって楽観的なら、放っておけばいい。充分しあわせになれると思います」
いや思わん。嘘です。ジーナちゃんのこれまでの言動から、ミューくんとの結婚は彼女にとって最悪の部類のものだと俺は思っている。
とはいえ、マイファレット嬢のあれだけの姿を見て、それでも完璧にとりつくろうことを選ぶなら、それはもう仕方ない。俺達では関与できない領域の話だと思ったほうがいい。そこまで頑ななら、どうにかできるのはミューくんだけだろう。その場合は、ミューくんの説得をするしかないか。ああ、結婚阻止を既定路線として考えてるな、俺。まあ考えるのは自由ってことで。
にこっと、笑ってみせた。
「まずはジーナちゃんの説得です。それを優先しましょう。それにさっき、マイファレット嬢、云ってたじゃないですか。ジーナちゃんは強いんですよ。マイファレット嬢が簡単にさらえるとは思えません」
「しっかり罵ってるわよ、それ」
ユラちゃんがぼそっと云ったが、マイファレット嬢にはダメージははいっていなかった。こくこく、頷いている。
「そうですわね。そうですわ……ジーナを説得して、それに、等級も増やします。あの子を荒れ地近くまでつれていって、結婚してしまうのです。絶対に、やりますわ、わたくし」
「マオ、あんた、停めなさいよ!」
ユラちゃんが嘆いたけれど、俺はにこにこして頷くだけだった。マイファレット嬢は鼻息荒く、サンドウィッチを片付けにかかった。
ユラちゃんは今にも気絶しそうだし、マイファレット嬢はサンドウィッチを食べすぎて苦しいみたいだが、ジーナと話しますわっ、と宣言して出て行った。十秒くらいしてユラちゃんだけ戻ってくる。
「マオ、時間をつくって頂戴。こっちにジーナをつれてくる。あんたも立ち会って。アエッラがばかなことをしないように」
「いいけど……俺はあんまり、ばかなことだとは思ってないよ。多分、ジーナちゃんを説得する側にまわると思う」
「成程ね。あんたに頼んだわたしがばかだったってことね」
目をぐるりとまわし、いつものような元気なく云って、ユラちゃんはとぼとぼと出て行った。マイファレット嬢に担いでもらって、上まで戻るのだろう。
ふたり、見覚えのある若い奉公人がはいってくる。それから、ツカサさんもやってきた。助っ人だ。そろそろ、ご飯の時間である。




