表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6882/6911

6725


 ユラちゃんが咳込むのを無視して、俺は云う。

「ジーナちゃんの気持ちが大事だと俺は思います。ジーナちゃんに相談……っていうか、提案するのはどうですか。こういう方法なら大丈夫だって、ジーナちゃんを説得するんです」

「できませんわ」

 マイファレット嬢はふいっと目を逸らし、震える声で云う。「わたくし、さっきも云ったのです。いやなら辞めなさいって。ミューにも失礼だなんて、そんな、無礼な、彼女の気持ちを踏みにじるようなことまで申しましたわ。ああ、やりなおせればいいのに」

 嘆くように、調理台を小さく叩いて云い、彼女は項垂れた。自分の失態を口にするのは随分勇気が要るだろうに、それができるんだから、彼女はやっぱり、結構な人物だと思うのだが。

「あの子を傷付けたくはなかったのです。そんなつもりで話していたのではないのに、この口が憎ったらしいことを喚いてしまって、ああ、消えてしまい。わたくしは愚かだから、うまく説得することなんてできませんわ。あの子は優しくて、賢くて、なにより我慢強すぎるのです。大人しくって、控えめで。わたくし、あの子を前にして、冷静に喋れません。それに、わたくしみたいなこらえ性のない愚か者がなにか云ったって、気持ちをかえる子ではありませんわ」

「できるできないじゃなくて、やるんです」


 つい、強い調子になった。マイファレット嬢はおずおずと、俺を見る。ユラちゃんが咳から解放され、喘いで、俺を見る。「マオ? あんた……?」

「ま、マオさん?」

「さっき、マイファレット嬢が云ってたことを、そのまま云えばいいと思いますよ。それで充分伝わります」

 マイファレット嬢は目を白黒させる。なにを云っているのかと、吃驚したらしい。俺は微笑んで続ける。

「マイファレット嬢がさっきみたいに、真剣に自分の意見を云えば、幾ら大人しくて控えめなジーナちゃんでも、自分の気持ちを明かしてくれるのでは?」

「そ……そうですかしら」

「優しい子ですから、真剣に自分のことを思ってくれる相手に対して、ばかにするような態度はとりません。マイファレット嬢が真剣なら彼女も真剣になります。それで、我慢してでもミューくんと結婚するのがいいんだってジーナちゃんが云うなら、その時にはさらいましょう」

「マオ!」

 ユラちゃんが鋭く云う。俺は頭を振る。「だって、我慢するって云ってるんだから、いやなんでしょう。いやな時にしか我慢するなんて云いませんよね。違います?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ