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ネクゼタリーさんは、魔物の討伐、魔物の討伐に参加する宣言前の子達の指導、宣言したばかりの子達の指導、ティヴァイン家の領地に関するあれこれ、だけでなく、無償で廟の手伝いもしているそうだ。
「ミューがあのひとを高く評価してるのって、それもあるのかしら」
ユラちゃんの疑問に、ほーじくんは頭を振る。「違うと思う。あにさまは、うちの領の廟に行くのが多くて、ミューはずっと都に居たみたいだから。癒しの力がふたつあるから、公の覚えがめでたいし」
「ああ……そう……」
ユラちゃんはなにか痛烈なことを云いたいみたいだったが、口を噤んだ。彼女は、神聖公とか、神聖公国の方針(癒し手・還元士・祇畏士が適職にあると実質それを選ぶしかない)に、それなりに文句を持っている。でも、ほーじくんを責めるみたいになってしまうから、云わないんだと思う。ユラちゃんは、本質的には優しいのだ。
ほーじくんは肩をすくめる。
「あにさまも、都の廟でお手伝いすることはあったけど、……あの、あにさまは、ええと。……あんまり、お金がないひととか、娼妓が治療してもらいに来る廟に、よく居て、その、看取ったりもしているから」
「看取りって……そんなことまで? あのひと、癒し手じゃないんでしょう」
ほーじくんは頷く。
「でも、どんなひとでもディファーズの臣民だし、主の思し召しでこの世にうまれたのだから、最後まで親切にしなくちゃって……」
ユラちゃんは頭を振る。「真似できない」
「廟は廟だろう。ミューが行く廟と、ネクゼタリー卿が行く廟に、差があるのか」
リッターくんが至極当然のことを云うと、ほーじくんは困った顔になった。
「建っている場所が違って。ミューはきっと、枢機卿や、その家族が来るようなところに、行ってたと思う。あの……あにさまがお手伝いしていたような廟は、あんまり、治安がよくないところにあるから、ミューの両親が、ミューをそういうところへ行かせないと思う」
ほーじくんは凄くはずかしそうに顔を伏せた。ユラちゃんはなにか云いたそうにしたけれど、やっぱり云わない。ほーじくんがはじているのがわかったからだと思う。
かわりに、俺が云った。
「あの、多分ミューくん、そういうところに行ってたと思うよ」
「え?」
ほーじくんが俺を見る。かなり驚いた様子だ。
「ミューくんと話してて、そういうの、訊いたから。娼妓の治療をしたことがあるって」
「え……そうなんだ……」
ほーじくんはこっくり頷いた。「それなら、ネクゼタリーあにさまと一緒に、廟でお手伝いしてたかも」




