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「どちらにせよ、ほーじくんはいい子だね」
「え?」
「いい子いい子」
手を伸ばして、頭を撫でた。ほーじくんは戸惑い顔だったけれど、すぐに、嬉しそうに目を細め、ふふっと笑う。
「あらまあ仲の宜しいこと」
ほーじくんがとび退った。俺は肩越しに背後を見る。くいっと顎を上げたユラちゃんと、剣の柄に手を置いたリッターくんが居る。「あ、ユラちゃん、リッターくん、おはよ」
「おはよう。ほーじも、おはよう」
ほーじくんは赤くなって、ぺこぺこした。リッターくんがおはようと云い、ほーじくんに近寄っていく。ほーじくんはリッターくんにくっついて、肩に顔を埋めてしまった。リッターくんはユラちゃんを呆れたように見る。「お前には慎みというものがないのか」
「なによ、わたしは仲が好いわねって誉めただけじゃない」
リッターくんが呆れたみたいな顔になった。あのリッターくんが。
ミューくんとサキくんは、ニニくんの様子を見てから来るそう。「ミューでも治せないものがあるなんてね」
ユラちゃんがぼやく。ほーじくんとリッターくんが頷いた。彼らはミューくんに絶大な信頼を置いている。
俺は反応できなかった。ミューくんを信じていない訳じゃなくて、人間は案外簡単に、修繕が難しいところまで行ってしまうと、知っているからだ。そういうひとは幾らでも見てきた。
「ほーじ、はやいですね」
みんなで一斉に、声のほうを向いた。ネクゼタリーさんだ。足許でヨヨとシシがはね、傍にリャクークが居る。
「あにさま、おはよう」
「おはようございます」
ネクゼタリーさんはゆっくりやってきた。リャクークがそのローブを甘く嚙む。なついている。
「お散歩ですか?」
「うん」
ネクゼタリーさんは微笑んで、弟の頬を撫でる。左耳は髪の毛に隠れていて見えない。「お友達と、話したいこともあるでしょう。でも、食事を忘れないように」
「はい」
ほーじくんは可愛らしく返事し、ネクゼタリーさんは満足そうに頷いて、リャクーク達をつれて歩いていった。ヨヨとシシはひたすら楽しそうだ。
ネクゼタリーさん達の姿が、建物の向こうに消える。ユラちゃんが云う。
「ネクゼタリー卿、控えめね。功績が幾らだってあるのに」
リッターくんが頷いた。ほーじくんも、ゆっくりそれに続く。「あにさま、魔物の討伐だけじゃなくて、廟で病気のひとのお世話したり、いろんなことしてて……」
「そんなことまでしてるの?」
ユラちゃんが驚いたみたいに云った。ユラちゃんでも知らないことがあるらしい。
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