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「マオ」

 ほーじくんが俺の近くにすとんっと降り立った。

 飛んでいたらしい。俺はちょっと驚いて、目をぱちぱちさせる。「ああ、ほーじくん」

「……ごめんなさい、おどかした?」

「ううん。なにか、あった?」

 ほーじくんは小首を傾げる。「心配だったから。また、レットゥーフェルが来ないか。それで、上から見てた」

「ああ……」

 ほーじくんはかなり高いところまで舞い上がれるらしい。ここはまちの中心部だけれど、上空からならまちを囲う壁の向こうも見えるのだろう。

「どうだった?」

「ん。レットゥーフェルは、居ないみたいだった。豚の群れが居たけど、傭兵達が倒してた」

 ほーじくんは頷く。心配ない、ということだろう。俺は微笑む。

「ありがとう」

「ううん……」

「ほーじくんが居て、助かるよ。頼もしい」

 ほーじくんははにかんだみたいに笑う。

「でも……あ、そっか」

「うん? なあに、マオ?」

 ばかみたいだ。

 俺は苦笑いになる。低声(こごえ)で云う。「ごめん。俺が居るから、魔の感知が難しいんじゃないかなって思って」

「ああ……」

 俺の魔は、凄く強いらしい。自分ではわからないのだが、タスが俺が魔につかれているのははっきりわかるようなことを云っていたし、多分わかるひとにはわかることだ。

 ほーじくんはもともと、魔を感知する力が少しあったみたいだけど、俺に関してはスルーしていた。ほかの祇畏士達もそうだ。あまりにも大きな魔があると、感覚が鈍る、というような話を聴いたことがある。それだろう。

 だから、俺が邪魔で魔をうまく感知できずに、上空から見ていたのだと思ったのだ。

 けれど、ほーじくんは頭を振った。

「ううん。マオは……あの、ね」

 ほーじくんは云い淀み、困ったみたいに頭をかいた。俺は小首を傾げる。

「……あの」

「うん?」

「……使役、してもらってから、マオのことは別でわかるようになってて」

 ほう。

 そうだ、使役されてると、使役してる人間の場所がわかるんだった。

 俺は、ああ、といいながら頷いた。ほーじくんは声を低くする。「説明が、難しい。マオはわかるし、でも、マオのその……魔も、わかる。でも大体、これはマオのだなって思って、ほかのが来るのがわかるけど、でもやっぱり目で見たほうが安全だから。前も、そうしてたし、祇畏士だって、みんなそう」

 ふむふむ。

 つまり、俺がどこに居るのかははっきりわかるから、その周囲の魔は俺のものだろうと判断できる。だから、ほかの魔が近付くのもわかる。かといって、その感覚に頼るだけじゃなく、目で見て確認するのも習慣になっている……と云いたいんじゃないかな、彼は。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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