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窓を開けるとオレンジ色の小鳥が居た。
多分、ここのお客さん達に餌をねだるのに慣れているんだろう。窓が開いたとみるや、数羽がどこからか飛来して、窓敷居にとまった。餌付けしていいものかわからないが、可愛いのでつい、収納空間から出したパン粉を掌に置いてさしだしてしまう。
小鳥達はちちっちちっと鳴きながら、パン粉をついばんだ。おいしいみたいで、勢いがある。掌をつつかれてくすぐったい。
肩越しに後ろを見る。ミューくんはサキくんの髪を、丁寧によつあみにしていた。サキくんは戸惑ったような顔で、俺とミューくんを交互に見る。「ミュー、なにかあるの?」
「ちょっとね」
ミューくんはサキくんの髪に紐を結び、とんとサキくんの肩を叩く。「はい、できた。きがえて、顔を洗ってこようよ」
「え? うん……」
「マオさん、ユラ達も呼んでおきますから、前庭で話しませんか?」
「うん」俺は苦笑いになる。「ありがとう」
「いえ。サキ、行こう」
サキくんは怪訝そうな顔で、ミューくんにひっぱられるまま出ていった。
ほーじくんが起きたので、簡単にことの経緯を説明する。彼は頷いて、ぼくも一緒に居る、と云い、きがえて出ていった。
サキくんもミューくんも、雑嚢っていうのかな、少ない荷物をまとめた鞄みたいなものは持って出ている。ほーじくんの荷物は俺が預かっているし、このお部屋にはもう誰の荷物もない。なので、俺は窓を閉め、錠を下ろし、ランタンを持って廊下へ出た。ランタンはフロントでかりたものだ。
フロントでランタンを返し、世間話みたいなものをした。ここのまちは、ココナツ風味のお菓子が名物だそうだ。後で買おうかな。
「おはよう、マオ」
「あ、ダストくん、おはよ」
ダストくんがランタンを持って降りてきた。やはり、フロントへ返している。
眠そうなので、俺はちょっと笑ってしまった。
「やっぱり、ベッドから落ちた?」
「俺は落ちてない」
「俺は?」
「リッターが一回落ちた」
ほれみろ。
勝ち誇ってやりたかったが、大人げないので辞めておいた。結局、ベッド割はサーダくん・ダストくん、リッターくん・ネクゼタリーさん、だったそう。そりゃあ落ちます。ベッドそこまで大きくないもん。俺とほーじくんだって、ほーじくんが痩せてるからなんとかなったんだぜ。
にやにやする俺に、ダストくんは口を尖らせた。けどすぐに笑い出す。「マオの云うとおりだった。ミュー辺りをもらったほうがよかったな」
俺達はそういう、なんでもないことで笑った。




