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え? なに?
ミューくんの低めた笑い声が聴こえる。サキくんも、口をおさえ体を折って笑っていた。「なに、どうしてわらうの」
「いえあの」
サキくんはなにか云いたいみたいだが、笑っていて息が続かない。ミューくんはよろよろと上体を起こし、ベッドに這い上がった。そのまま俯せて笑っている。サキくんがミューくんのせなかに突っ伏して、一緒に笑った。
俺は眉を寄せる。
「ほんとに、なに?」
「マオ、大丈夫だと思うよ」
ほーじくんが項垂れたまま、もごもごと云った。体をちょっと斜めにして、上目で俺を見ている。「ネクゼタリーあにさまは力が強いし……リッターでもダストでも、しっかり抱えてたら大丈夫。リッターとダストが同じベッドでも、大丈夫だよ。ふたりも力が強いから」
ミューくんが叫びみたいな声を出して笑った所為か、誰かが扉を叩いた。
ほーじくんが錠を外し、扉が開くと、寝間着になったダストくんが立っていた。なにか云いかけた彼だが、笑い転げるサキくんミューくんを見て口を噤む。
「なんだあ、あれ?」
「わかんない」
俺は困り果てて、そう返した。ほーじくんも、俺に同意しているのか頷く。
ダストくんが後ろ手に扉を閉めた。ミューくんとサキくんはベッドの上で重なり合って、笑いをこらえようとしているらしい。それこそ、ベッドから相手が落ちないように抱き留めている、みたいな格好だ。
ダストくんはそれにそろーっと近付いて、いろんな角度からふたりを観察し、最終的に俺を見て困った顔をした。
「マオ、なんか面白いことでもしたのか」
「してないよ」
口を尖らす。どうして結論がそこになる訳。
「俺はただ、ダストくん達のお部屋が心配だって云っただけ」
「はあ?」
ダストくんが目をまるくした。心外だ、といわんばかりの剣幕で云う。「お前、父さんみたいなこと云うなよ。サーダにはなにもしないって。できる訳ないだろ、そんなだいそれたこと。俺はばかじゃないんだ」
「は? なんの話」
「は?」
「だってそっちのお部屋、ダストくんもネクゼタリーさんもリッターくんも大きいじゃん。同じベッドになったらひとりは落ちちゃうかもって」
ダストくんは大口を開ける。俺は云いつのる。
「だめかもしれないけど、三人のうち誰かと、俺かミューくんがいれかわったらいいんじゃない? 荷物をかごへいっぱいに詰める感じで、つじつまが合うって云うか、丁度よくなるでしょ」
こちらにはジグソーパズルがあるかわからないので、たとえに出せない。結果として、自分でもよくわからない表現になった。
ダストくんまで笑いはじめる。どうしてだよ。




