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ほーじくんが器をからにし、ちらっちらっと俺のスープを見ているので、器をさしだした。「ほーじくん、お願いしていい? 俺、これからくて食べられないから、食べてほしいんだけど」
「いいの?」
ほーじくんは嬉しそうにして、器をうけとり、自分の近くに置いた。「ありがとう、マオ」
「ううん。俺こそ助かるよ」
ほーじくんはにこっとして、スープをまた、お匙ですくう。よっぽどおいしかったみたいで、二杯目も彼はどんどん食べていった。むむ。後で厨房担当のひとを捕まえて、レシピを訊こう。
ほーじくん程からさに強くないがそれなりにスープを食べた、リッターくん、ユラちゃん、サキくんは、唇が赤くなってしまっている。
ダストくんがくすくすしながら、甘いものを注文してくれた。大きな氷がういた、すいかのジュースだ。裾野では水分補給にすいかを食べることが多い。こういうふうに、ジュースになったものも、よく売っている。
ふた口だけで諦めて無事だった俺も、すいかジュースを戴いた。ほーじくんは興味がないみたいで、お水を飲んでいる。ダストくんはあれだけヨーグルトサラダを食べたのに、またデーツをかじっていた。おなか壊さないのかな。
「ほーじ、朝のことだけど」
ほーじくんがこっくり頷く。「ん」
「さっき、ネクゼタリー卿に話してみた。サーダにも話そうとしたんだけど、俺の云いかたがまずかったみたいで、部屋から追い出されちまってさ」
「なんの話?」
氷をかじるユラちゃんが云う。「ダスト?」
「ああ、ちょっとな」
「サーダあにさまのことだよ」
ほーじくんがユラちゃんへ、静かに云う。ユラちゃんはきょとんとした。
「サーダ卿が、どうかしたの」
「ちょっと……あにさまは、具合がよくないみたいだから、ダストの村で療養できないかなって、ダストと相談した」
「ミューに治療してもらえばいいんじゃない。云っちゃ悪いけど、荒れ地近くじゃいろいろ不便だし、兄弟同士で連絡もとりづらいでしょ」
ユラちゃんの言葉にはいやみっぽいところはなかったし、単純に家族が離れてすごすことで起こる不便を心配しているだけなのは、聴いていてわかった。ダストくんがかすかに笑い、頷く。
ほーじくんが頭を振った。
「あにさまは、しばらく休んでないから、ぼく達と連絡とれないようなところで、静かにやすんでほしい。それに、ミューでも治療はできないと思う」
「……心の問題なのね?」
ユラちゃんが声を低め、ほーじくんは肯定も否定もしないで微笑んだ。それからダストくんへ云う。「ぼくも、あにさまに話してみるよ」




