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そういう、大人で魔物との戦いに慣れているひと達が、祇畏士みならいや祇畏士になりたてのひと達をサポートするんだろう。だったら、癒し手志望者と組むのは、熟練の祇畏士か。
ミューくんは祇畏士を何人も知っているようだったから、祇畏士の居ないグループに組み込まれるということでもないんだと思う。それとも、ミューくんは宣言前から癒しの力をふたつ持っていたから、有望視されて祇畏士の居る場所へ派遣されたのかな。
ディファーズの仕組みというか、やりかたはよくわからないが、熟練達で組ませることはあっても若手だけで編成することはないだろう。危険すぎる。でも、ミューくんが沢山の祇畏士を知っているのはやっぱり、彼が優秀で将来有望株とみなされていたからだと思う。ネクゼタリーさんの云っていたことは、正しいのだ。
ユラちゃんが急き込んで云う。
「ねえ、ミュー、その時にニニは居なかったの?」
「ハイオスタージャ卿? ネクゼタリー卿とご一緒した時には居なかったよ。別のかたに指導してもらった時には一緒になったけど」
「ああそう……」
ユラちゃんは多分、ネクゼタリーさんとニニくんの様子がどんなだったのか、訊きたいんだろうな。俺も訊きたいから、わかる。でも、ミューくんはふたりが同じ組になった時のことを知らない。
ミューくんはのんびり、むしパンの包みを開け、かじった。「うわ、これ凄くうまいな。ユラも食べたら?」
「ああ、ええ」
「ねえ、どうして君達、ネクゼタリー卿のことを気にするの?」
サキくんがやっぱり包みを開きながら云う。「ほーじは、弟だから気にするのはわかるけど、ユラ、君が他人をそこまで気にするのはめずらしいな」
「どうせわたしは独善的よ」ユラちゃんは口を尖らせたが、すぐに表情をやわらげた。「なんてね。……ちょっと、ややこしいことになってるのよ。ネクゼタリー卿とニニが」
「ふうん?」
ミューくんは酔っぱらいの治療で疲れていたのか、甘そうなむしパンをもう半分も食べている。
「ややこしいって? あのふたり、仲が好いだろう?ネクゼタリー卿は、ハイオスタージャ卿も凄いんだって云ってたし、ハイオスタージャ卿はネクゼタリー卿に会いたい、一緒に居てほしいって、何度も云ってたぜ」
俺とほーじくん、ユラちゃんは、顔を見合わせた。
「同じ組になった連中は、雑役に居てもらってもなんの役にも立たないなんてほざいてたから、その時指導してくださってたユヴァッシャンダ卿にいいつけてやったけど」
俺達が黙っているので、ミューくんは不安そうに云った。「なに? 俺がユヴァッシャンダ卿にいいつけたの、悪かった?」
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