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馬車の整備が終わって、俺はサーダくん達の馬車にのっている。ほーじくんとユラちゃんが一緒だ。御者はネクゼタリーさん。
ユラちゃん達の馬車には、ニニくん達三人が居て、リッターくんが御者をしている。
マルジャン達の馬車は、ダストくんとサーダくんが並んで御者をしていた。
サキくんとミューくんは、騎商からあたらしくかりた一頭のラシェジルにまたがって、この馬車に並んで歩いていた。窓を開けて外を見ると、ミューくんが軽く手を振ってくれる。
まだ、手が、というか腕が震えてしまって、うまく乗馬できないらしい。サキくんが後ろからミューくんをしっかり抱きしめるみたいにして、手綱を握っていた。サキくんもミューくんも、表情はさほどくらくなく、安心しているように見える。
ミューくんの腕の震えも、精神的なものなのかな。
窓を閉め、きちんと座った。ユラちゃんが欠伸をし、俺とほーじくんにそれがうつる。「昨夜、眠れた? ユラちゃん」
「まあまあね」
マルジャン達の馬車に泊まったユラちゃんは、もごもごと云う。「チャタラ達が、外の藪で寝て、わたしとネクゼタリー卿に場所をつくってくれたわ。ホートリットも案外おとなしいし、レットゥーフェルはむっつりして黙ってるし、快適だったわよ」
あまり快適な感じではないのだが、ユラちゃんは皮肉ではなく云っているらしい。脚を組み、腕も組む。
「ほーじ、ネクゼタリー卿はなんて?」
「……ハイオスタージャ家に連絡するけど、ミューが云うならそうなんだろうって」
「リッターに対する文句はなかったの? それか、自分がニニの傍に居るとか、そういう言葉は」
ほーじくんは頭を振る。ユラちゃんはちっと舌を打った。「なんなのかしら。……ねえほーじ、あんたっていい子ね」
唐突に誉められたほーじくんは、え、と小首を傾げた。ユラちゃんは顔をしかめている。
「あんたが、マオにまといついて、好きだ好きだって云うの、なんなのかしらって思ってたのよ、最初は。マオの立場もあるじゃない。マオのこと考えないのかしらって……でもわたしが間違ってたわ。あんたは正しい」
「え……えっと」
「ネクゼタリー卿は、ニニのことが好きなんでしょ。それならそうとはっきり云ったらいいのよ。ああ勿論、癒し手がディファーズでは尊敬されてるとか、そういうのはわかってるわ。お互い立場があるってこともね。でもネクゼタリー卿は、祇畏士でもないのに行に何度も出て、大きな功績があるじゃない。もっと胸をはって威張っていればいいのに、申し訳ないけどあんたのお兄さんは卑屈よ」
感想ありがとうございます。はげみになります。




