3911
ほーじくんと、社務所の前で別れ、俺は湖へ向かった。井のなかということもあってだろう、ほーじくんは安心しているみたい。ただ、すぐにぼくも行くから、と云っていた。
俺は回廊を通って、湖の前まで来た。カルナさんとリッターくん、リッターくんに背負われたニニくんが居た。
湖のなかに収納空間をひらいて、お水をいれていく。
カルナさんがゴブレットにお水をすくい、リッターくんのせなかに居るニニくんに飲ませている。ニニくんは完全に、力をぬいている。反応はほぼない。
井というのは、こちらの世界のひとにとっては、凄く大切な場所なのだ。神さまとつながっている、とされている場所だから、ある程度の治療を施しても意識を恢復しない場合、こうやって井のお水を飲ませるものなのかもしれない。
天罰、というのが、脳裏にひらめいた。まさか、ニニくんのこの状態、天罰じゃないよな。
それは、ありえないと思いたい。だって、リッターくんを助けたあとだ、ニニくんがこの状態になってしまったのは。リッターくんを助けることが、天罰に結びつく訳がない。
湖の水位は、俺がどれだけお水を汲んでもかわらなかった。そういうふうに、実存者なり開拓者なりが調整しているのかもしれない。こちらの世界のことは俺には不可解すぎる。
リッターくん達と、来た時とは逆を通って、社務所の前まで戻った。なんとなく、栄螺堂のような雰囲気を感じる。
社務所の前には、ネクゼタリーさん、ミエラさん、ユラちゃんとほーじくんが立っていた。ユラちゃんはゼリーをいれていたがらすの容器と、お匙を持ち、ミエラさんはマグを持っている。
駈け寄った。「ごめん、忘れてた」
「洗っといたわよ」
ユラちゃんは自慢げだ。「乾燥もさせたからね。マグもよ」
「ありがとう」
食器を収納する。ユラちゃんは食器洗いが上手で、どれもぴかぴかだ。
ミエラさんがくすっと笑い、ニニくんへ駈け寄っていった。ネクゼタリーさんが微笑む。「パンや、干したくだものを包んでいた紙は、還元しておきました」
「ありがとうございます」
ネクゼタリーさんは巡らせる者を持っている、と、昨日聴いたっけ。還元しているところを見たことがないから、知らなかった。見ていたら、還元士だと誤解したかもな。
きちんと火の始末ができているか、壊したものがないか、汚したものがないかなど、みんなで確認してくれたそうだ。俺はそれを聴きながら、みんなと一緒に参道へ向かう。
俺達はどこへ向かっているのかな。多分、レントなんだろうけど。




