3906
端的な答えだった。
俺はしばし、口を噤む。
タスは肩をすくめるみたいにしたが、表情はかたい。
「お前の魔力は遠くからでもわかった。それで仲間達とお前を襲いに行った」
こんなところで、玉花荘が襲撃された理由もわかってしまった。エクシザやマルジャン達も、もしかしたら俺の魔力がおびきよせていたのかもしれない。
俺は頭を抱える。
「ニニくんに……」
「魔物は魔につかれているから、魔力を察する。そう教わってきた。我らは。あの娘を見るに、それは嘘だったようだが。とにかく我らには魔力がわかる。還元が過多になって、魔力が充ちているところがわかる。そういうところには、人間を襲いやすいと、魔物がよってくる。だから我らはそこへ向かう。強い者を殺せば、等級が増える。等級が増えれば体力も魔力も、つかえる魔法も増える。情況をかえやすくなる」
ああ、ああ、そう。還元過多による魔物の襲撃の仕組みも、わかった。
人間が還元をやりすぎる。人間には見えないが、空中に魔力が大量に漂う。そこまで強くなかったり、知能が高くない魔物は、その状況下なら人間と楽に戦えるかも、一方的に蹂躙できるかもとやってくる。そういう魔物のなかでも高レベルの者を狙って、レットゥーフェルのようなレベル上げ目的の魔物がやってくる。そしておそらく、レットゥーフェルのような強い魔物を狙う、もっと強い魔物も来るのだろう。
人間が、荒れ地にレベル上げに行くような感覚なんだ。きっと。
俺みたいに、自覚はないが魔力が高い者が居て、それを倒せばなにかが起こって、封印が解けるかも……と、あっちに居た頃のタスや、その仲間は、そう考えた。そういうことだと思う。
頭を振る。
「ねえ、ニニくん……?」
「魔力をつけたと云っている。お前達も、触れあって魔力をつけあっている。意識していないようだが。わたしはそれを意図してつけた。特に難しいことではない。レティアニナをレットゥーフェルだと、その辺の有象無象に誤解させ、安易に襲わせないようにしたつもりだった」
……ああ。ああ。なんとなく、わかった。なんとなく。
マーキングみたいなことかな。っていうか、名札。ニニくんは人間の見た目だけど、魔物にはレットゥーフェルの魔力をまとっているように見えるから、レットゥーフェルと思われる。
「でもそれでどうして」
「レットゥーフェル同士なら個人差がわかる。わたしの魔力を知っている、同胞が、レティアニナがわたしを駆使していると勘違いした。人間につかわれるなどはじだと」




