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お手洗いへ行ってから、井戸端で歯を磨いたり顔を洗ったりした。ダストくんはサーダくんに度々ちょっかいをかける。サーダくんはいやがっていない。なんていうか、あれだなあ。疑似兄弟みたいな。ていうかそれこそ、義兄弟的な感じかもしれない。
もし、サーダくんが入山していたら、ダストくんとは先輩後輩だったのかもしれない。
ダストくんがサーダくんを抱えて食堂へとびこんでしまった。リッターくんがニニくんを背負い、カルナさん達とあらわれる。朝の挨拶をし、俺達も食堂へ這入った。四人は、井のお庭をお散歩していたそうだ。
「朝の光で、レティアニナが元気になるかもと思って」
カルナさんは、リッターくんが椅子へ座らせたニニくんの頬をつつく。「レティアニナ、あなた、はやく目を覚ましなさいよ、お寝坊さん」
とても優しい調子だった。
ダストくんとサーダくんは居ない。ユラちゃんとネクゼタリーさんを呼びに行ったらしい。なにか食べるものを用意してほしい、と、ダストくんの伝言だそうだ。折角食堂があるのだからここで食事にしようと。
俺はほーじくんと並んで、かまどでお湯をわかした。お茶を淹れるつもりだ。後は、サンドウィッチやなにかが、まだまだ沢山ある。昨日、戦いがあったし、まちや村でないと、本格的な食事をとる気分になれない。食べている途中を襲われたら、食事そのものがきらいになりそうだ。
薪は置いてあったのだが、勝手につかうのはなんとなく気がひけて、収納していたものを燃やしている。お鍋も自分のもの。「宿泊代、払わなくていいのかな」
「払わなくっても、怒られたりはしないけど……マオが気になるなら、マオがこれくらいかなって思うくらいのお金を、あれにいれていったらいいよ」
ほーじくんがやわらかい調子で云って、玄関の方向を示す。ううん?
「あれって?」
「あの、かめ」
……ああ。え、あれ水がめじゃないんだ。お賽銭箱ってこと?
そっかあ。どうして玄関に水がめがあるのか意味がわからないし、お出迎えでお水を飲んでもらったり、手を洗ってもらったり足を洗ってもらったりするとしても、こちらのひとにはお水を出す魔法がある。また勘違いしてた。
傘立てかな? とかも考えたけど、そもそもこっちの世界では傘をさすひとはまれだ。うわ、ばかじゃん俺。
昨日見た限りでは、かめの内部にはうっすら埃がつもってたし、お金らしきものもなかった。から、ここに泊まったひとはここしばらく居ないか、居てもお賽銭をいれなかったか、だ。




