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俺はほーじくんを促して、食堂を出た。手をつないで。
ほーじくんは黙っている。俺はなにも云えない。ネクゼタリーさんの左耳は、どうなっているんだろう。どれくらいの怪我なんだろう。ニニくんが意識を失っていなかったら、大丈夫だったのかもしれない。
奥の廊下の壁には、扉がずらっと並んでいた。ほーじくんは無言で、一番手前の扉を示す。少し奥から物音がしていた。ダストくんとサーダくん、まだ起きているのかもしれない。
扉を開けて、お部屋に這入った。病院の四人部屋みたいな雰囲気だ。よっつのベッドがはなれておいてある。窓はぴっちり、閉められていたが、空気は悪くない。換気をすませたんだろう。
ニニくんは、這入ってすぐ左のベッドで寝ていた。リッターくんがその奥のベッドに腰掛けている。起きているのかと思ったが、こっくりこっくりしていた。眠っているようだ。いつでも起きられるように、横にならないのかな。
ほーじくんは向かって右の、奥のベッドへ向かう。座って、そのままぱたんと倒れるみたいに横になる。
俺はしばらくそれを見ていた。
ロック解除できたことが、相当なストレス軽減になったんだと思う。睡眠は深くて、一度も目を覚まさずに朝が来た。
起きるとリッターくんとニニくんは居なくて、ほーじくんは窓辺に立って窓を開け、外を見ていた。「おはよう」
「……おはよう、マオ」
振り向いたほーじくんは微笑んで、小首を傾げた。「マオに、おはようって云ってもらえるの、凄く久し振りみたい」
「そうだね」
くすっとしてしまった。
きいっと音をたてて扉が開く。「起きてるか?」
「あ、ダストくんおはよう」
「おはよう、ダスト」
ダストくんも嬉しそうに、おはよう、と云う。ダストくんの大きな体に隠れるみたいにして、サーダくんが居た。挨拶を交わす。
四人で廊下を歩いた。「ダストくん、昨夜遅くまで起きてたでしょ」
「あ、煩かったか?」
「ううん。眠れなかったの?」
ダストくんは肩をすくめる。「レットゥーフェルと戦って、そんなにぐっすり眠れない」
「あー……」
そうなのかな。俺は、レットゥーフェルと戦闘した後、渓谷に落ちたから、わからん。
苦笑いでなにも答えないでいると、ダストくんはサーダくんの肩を抱いた。
「サーダに頭撫でてもらってた。気分悪くしたの、サーダなのに」
ダストくんそういうとこだよ。歳上キラーなの。なんか可愛いからさ。
サーダくんが困ったみたいに微笑んだ。ほーじくんが頷く。「あにさま、眠れない時、寝かせてくれるから」
あ、そうなんだ。ひとを安心させるなにかがあるのかな。




