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二階建てかな? 多分。
両開きの扉があった。装飾的な建物ではない。でっかい四角、という感じ。こちらの世界基準の建物だから、大きいのは大きい。
扉も、木でできているのが豪華な感じだが、古色がついていて、鋲のさびやなんかも目立つ。
木製の戸がついた窓が幾つもあって、その分お部屋があるのかなあ、と思った。
ほーじくんが小走りにそちらへ行って、両開きの扉を開ける。俺達も続いた。ダストくんとサーダくんが建物へ這入り、灯をつける。
ああ、魔法の灯だ。ダストくんが慎重な手付きで、魔法の灯を天井のほうへと飛ばす。「油が切れてるな」
「みたい……こっちもだ」
サーダくんが古びたランタンを持ち上げ、軽く揺する。
俺は収納空間からランタンをとりだして、ダストくんへ渡した。「ああ、マオ、ありがと」
「うん」
上の空で答え、きょろきょろした。
内部も、豪華な感じではない。
ランタンに灯が点り、明るさが増した。それを合図にしたみたいに、カルナさん達が一緒に扉を閉め、協力してかんぬきをかける。外からは施錠できないが、内側からはできる構造なのか。ここに、常に誰かがいることを想定した、そういうつくりだ。きっと。
ここは、玄関広間だろう。水がめが置いてあるが、中身はからだった。かすかに埃がつもっているくらい。
壁にはつくりつけの棚があって、ランタンはそこに置いてあったらしい。ほかにも数個、ランタンはあったが、どれも油は切れていた。
壁の上部に金属製の環がとりつけられていて、そこにたいまつをさせるようになっているみたいだが、たいまつ用の木はなかった。なんでも魔法ですませるようなこちらの世界だが、こういう設備そのものは存在する。
大きなアーチの向こうに、リッターくんとほーじくんが歩いていく。そちらは食堂みたいだった。俺も小走りでついていく。
さっき、サーダくんが持っていたランタン同様、古びたテーブルと、古びた椅子がある。テーブルは長方形で、大きい。これなら、大勢のひとが食事をとることが可能だ。
ダストくんが魔法の灯を慎重に飛ばす。俺はランタンを幾つかテーブルに置き、サーダくんやミエラさんがそれに火をいれた。テーブルには埃はない。水がめと違って、こちらはかなり神経質に拭き掃除されているみたいだ。表面がつやつやしている。
「わ」
這入って右の壁に、立派なタペストリーがかかっていた。道具尽くしとでも云うべき柄だった。
ぼたん、針、針箱、鞄、手水鉢……ああ、これ、もしかしたら神さま達のアトリビュートを織り出しているのかな。だとしたら、井にあるのに相応しいような柄だ。




