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はっと我に返った。ひどい匂いがした。
カルナさんとミエラさんが、横たわったニニくんの手を握って、優しく話しかけている。その様子から、ニニくんは死んでいないと判断した。
俺はそこから少しはなれたところで、やはり横になっていた。サーダくんがすすり泣いている。
体を起こす。状態異常を奪う、と思うと、強い眩暈と吐き気がした。レットゥーフェルの冒瀆魔法に、みんな苦しめられたのだ。
リッターくんが項垂れていた。横倒しになった馬車に右肩をおしつけるみたいにして寄りかかり、動かない。後ろ姿だが、彼がなにか、とてもショックをうけているのはわかった。
サーダくんは手首を治療してもらったみたいで、手首はもとの状態に戻っていた。涙をこぼしながらも、滅却をしている。ほーじくんもだ。ふたりが滅却したレットゥーフェルの死体を、タスが黙々と還元した。つらそうなサーダくんを、ダストくんが肩を抱いてなぐさめている。
ネクゼタリーさんはニニくんの傍に立っていて、動かない。怪我をしたみたいだ。顔の左側が血まみれになっていて、左耳のピアスがない。片手であの重たい剣を持って、じっとしている。じっとニニくんを見ている。無表情に。
ユラちゃんはリッターくんの近くに居る。ユラちゃんの足許には、心配そうなヨヨとシシが居た。ユラちゃんの手を掴んだり、スカートをひっぱったりして、気をひこうとしているが、ユラちゃんは反応しない。ユラちゃんの後ろ姿は、怒っているみたいに見える。
エクシザがどすどす歩いて、馬車へ戻っていった。空中でレットゥーフェルとずっと戦っていたエクシザは、疲れたらしい。マルジャンとヤラがその傍に居て、気遣わしげにしている。三人は馬車へ戻る。
俺は立ち上がり、手のなかにニニくんの指環を握り込んでいることに気付く。ニニくんはあの時、なんと云ったんだろう。あの、彼が意識を失う直前。
ユラちゃんが、転がっているレットゥーフェルの首を、乱暴に蹴った。首はごろごろ転がり、タスの足許で停まる。タスはなんの躊躇もなく、それを還元した。まったくなんの逡巡も見せなかった。ひとかけらも。
ユラちゃんはリッターくんへつかつかと歩み寄り、ローブをひっぱる。揺する。だが、リッターくんは反応しない。項垂れて、自分の世界にはいりこんでいる。まるで、もう傷付きたくないと云わんばかりだ。
ニニくんがかすかに呻いて、リッターくんが反応を示した。リッターくんの頬は涙でまっかに荒れている。彼はずっと、泣いていたらしかった。
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