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あの感覚があった。
だから、使役しているすべてのいきものから状態異常を奪い、体力と魔力を譲渡した。
ユラちゃんがとびあがるみたいに起きて、こちらを振り向いた。疑問でいっぱいの顔だ。でも、情況を思い出したみたいで、駈けてきて杖を拾った。
リッターくんも目を覚ましたけれど、座りこんで呆然としている。ユラちゃんが、リッター! と叫んで、レットゥーフェル達へつっこむ。
リッターくんは反応しない。もしかしたら、叫喚がききすぎているのかもしれない。もう一度、状態異常を。
リッターくんが上空から勢いよくおりてきたレットゥーフェルに狙われた。
いつそんなところに居たのかわからない。本当に、いつ移動したんだろう。
リッターくんを庇うようにニニくんが割り込んで、刺された。
リッターくんがニニくんを仰いでいる。多分彼は叫んだ。悲鳴や怒号が行き交っていて、どの声が誰のものかなんて正確なところはわからない。
ニニくんは腹部から大量に出血している。リッターくんが倒れたその体をうけとめた。顔がニニくんの血にまみれている。俺は立ち尽くしている。
「ヤラ。ヤラ!!」
自分の悲鳴に気付いた。ヤラが馬車からとびだしてきて、泣き喚いているリッターくんの許へ行く。どんどん血の気を失っていくニニくんの許へ。
俺はよろけながらニニくんに近付いていった。レットゥーフェルの首が飛んでくる。鮮やかと云うよりも貧血みたいな血。タスが咆吼した。彼は怒っているらしい。ネクゼタリーさんが大きな声で笑っている。ああ、怒っているのかな。
もうわからない。
ヤラが治療をはじめているのは見えた。ニニくんの出血は停まった。リッターくんが泣いているのは初めて見たかもしれない。
そうだ、使役すればいい。
俺はリッターくんの隣に膝をつく。使役、というと、ニニくんを使役できた感覚がある。傷をもらった。口のなかに血の味がひろがる。
ニニくんは意識を保っていた。震える手で、指環を外す。ふたつとも。
ニニくんはなにか云って、俺の手に指環を握らせ、意識を失った。
おなかが痛い。
レットゥーフェルはまだ残っていた。リッターくんがまだ、ぼろぼろと涙をこぼしながら、剣をとって向かっていく。表情はない。
俺はニニくんを抱えて、レットゥーフェルに偸利をつかい、彼の怪我を徐々にひきとっていた。ヤラにはそれがわかるようで、俺も治療してくれる。
血液をこれだけ損ねた。使役でなんとかなるか、わからない。
戦況はこちらの優勢らしい。シシが馬車から出てきて、必死の形相でやってきた。シシは俺とニニくんに、水花をつかってくれた。ああ、シシもか。
体力を譲渡するというのは、血を譲ることにもなるのかな。俺は段々と、眠くなっていった。魔力薬を服み、みんなに魔力を。
感想ありがとうございます。はげみになります。




