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ネクゼタリーさんが持っている紙がなにか、わかった。地図だ。
どこの町でも、お宿のフロントで地図を貸し出してくれるものらしい。レントでも、フロントでかりてかきうつした。
ネクゼタリーさんが先頭で、地図を見ては顔を上げ、肩越しに俺達を見てなにか云う。引率の先生みたいだ。
キユスと同じく、露店の立ち並んだ市のような通りがあった。そこはひとでにぎわっていて、ざわざわと楽しげな声がしている。俺達はその通りに足を踏みいれる。
ダストくんが立ち停まり、俺を呼んだ。振り返る。
ダストくんは困った顔で、頭をかく。サーダくんがちょっと考え、手を口許へ持っていって、なにか食べるような仕種をした。サーダくんは、ダストくんのおかげでだいぶ落ち着いている。俺が言葉を理解しないことに対するショックから、かなり立ち直ったらしい。
ダストくんが両手を軽く前へ出して、猫の手みたいな形にした。それでなにかをひっぱるような仕種をする。
あー……馬車の手綱をひいている? のかな?
まったく鈍くて申し訳ないが、それでやっとぴんときた。もしかして、トゥアフェーノ達の餌のことだろうか。
サーダくんが、少し先で立ち停まっているほーじくん達の許へ走っていった。ユラちゃんに話しかけている。レフオーブル、と聴こえたので、そうだろう。
ドライフルーツの袋をとりだすと、ダストくんはにやっとして、それを手で制す。え、違うの?
しかし、違う訳でもないみたいだ。ダストくんは傍らの屋台を示す。申し訳ないが、あんまりお客さんは居なくて、店主らしいちょっとふとったおじさんが、座った状態で寝そうになっている。
軒先に幾つも吊り下げられているのは、ペリドットとなにかしらの緑の宝石だった。角のまるいさいころのように加工されて、革紐でつないである。そのなかに、どうも動物の牙らしいものもあった。
で、意味はわかった。その屋台は、ドライフルーツならぬ、ドライさぼてんを売っている。
ここしばらく、トゥアフェーノはドライフルーツがほとんどだったし、さぼてんはこの辺りやダストくんの村ではそう栽培しているものではないらしい。
これを食べさせてあげて、還元過多による魔物の襲撃のストレスを少しでも軽減させたい……ということかな。
リャクークは俺のもの、という認識らしいし、サーダくんがユラちゃんに話しかけたのは、馬車のひとつはユラちゃんがかりたものだからだ。
俺が屋台のおじさんの肩を揺すり、銀貨を差し出すと、おじさんは一瞬で目を覚ました。




