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馬車のひきわたしを続けるダストくんを残し、俺達も宿へ這入った。フロントで、ネクゼタリーさんとユラちゃんが並んでお金を払い、記帳している。
ユラちゃんとサーダくんはどうにも険悪な感じが拭いきれないが、ユラちゃんとネクゼタリーさんにはそんなことはなかった。
ていうか、対立さえも起こらないような、無視に近い雰囲気になっている。すっごいよそ行きの顔をしているのだ、ユラちゃんが。
それは多分ネクゼタリーさんも一緒。物腰柔らかだけど、目が笑ってない。
不思議なのは、どうやらユラちゃんとほーじくんが同じ陣営らしいことだ。多分ね。感覚的にそう。
食堂にはいった。雑穀ご飯と、ちょっとぴりっとした山羊肉いりのトマトシチュー、ドライフルーツのジャム(おそらく、薬味としての扱い)、レモンのきいたとうもろこしとかぶのサラダ。前に食べた時は、ステューフさんの怪我があったりして、凄くおいしいとは思わなかった。でも今回は、かなりおいしく感じる。
あとから這入ってきたダストくんも一緒に、ひとつの長テーブルを占拠している俺達だが、会話はまばらだった。
俺はなんとなく、「陣営」を振り分ける。
まず、ネクゼタリーさんとサーダくん。ここは絶対に同陣営だ。そこにどうやら、ニニくんも、消極的ながら参加しているらしい。云い争いらしきものがはじまると、ニニくんはネクゼタリーさんに味方する。そのくせ、ネクゼタリーさんに対してたまに怯えた様子を見せる。
ほーじくん、ユラちゃんも同陣営で、ネクゼタリーさん陣営と対立している。ただ、ユラちゃんはサーダくんとはたまにやりあうが、ネクゼタリーさんとはあまり対立した様子を見せない。お互いに、主張が違いすぎるので議論も無駄と思っているのかもしれない。そういう感じがする。
ほーじくんはお兄さん達に逆らっているらしいし、お兄さん達はお兄さん達でほーじくんにいらだった様子を見せる。ネクゼタリーさんは温厚な人柄らしく、怒った顔を見せたのは門衛に対してとほーじくんに対してだけだ。俺が殴りかかっても怒らなかった。
ってことは、それ以上にほーじくんは腹がたつことをしているってことなんだけど、それがなんなのかがよくわからん。お祈り拒否はそのひとつだとは思うが、それだけじゃないだろう。
ああ、ほーじくんはさっきも、食前の祈りを捧げなかった。徹底的に抗戦するつもりらしい。ネクゼタリーさんがいらいらした様子を見せたが、隣に座っているニニくんが袖をひっぱってなだめ、喧嘩にはならなかった。




