3848
思っていたよりも、事態はこじれている。
ニニくんはまた、怯えきっていた。ネクゼタリーさんは微笑みで、声もそこまで強い感じではないけれど、あきらかにいらだっている。サーダくんとほーじくんがはらはらした様子なのがわかった。ネクゼタリーさんが怒ることに対して、ふたりとも怯えているみたいだ。
ダストくんが御者台をとびおりてやってきた。大きな体を縮めるようにして、ほーじくんに静かに近寄り、話しかける。ふたりは低声で言葉を交わし、ダストくんは馬車へ戻った。
門衛達の態度ははっきり云って、悪い。どちらも仁王立ちというか、ふんぞり返っている。しかし、たまにサーダくんが口をはさむと、それにはへりくだった態度で応じるのだった。
うわあ、一番苦手なタイプ。門衛の権力を振りかざすなら、祇畏士にも平等にしてほしい。もしそうだったら、門衛としての職務に忠実すぎるのかな、と思うから。
多分、荒れ地から戻るというのは、本当に凄くめずらしいことなんだろう。すぐには信じられないくらいに。
門衛のひとりが、カルナさんとミエラさんに近付いていった。ユラちゃんがその前に立ちはだかる。門衛がユラちゃんに、猫なで声でなにか云った。小さな子どもにつかうような声だ。ああ、ユラちゃん、怒るぞ。
と思ったが、意外にもユラちゃんは、それに対して怒った様子はなかった。冷静な表情で、カルナさんとミエラさんをせなかに庇い、数歩後退りながらなにか云う。
ここの門衛は、カルナさん達にも注目しているのか。
ニニくんが震えた声でなにか云いながら、門衛に近付いていった。ネクゼタリーさんがその手首を乱暴に掴んで、ひっぱる。しっかりと抱きしめ、笑顔で門衛になにか云う。
門衛は、サーダくんとほーじくんを呼んだ、と思う。そんなふうに聴こえた。やはりへりくだった様子で、門を示す。祇畏士のふたりは通っていいと、そういうことらしい。
サーダくんは口を半開きにしたがなにも云わず、ほーじくんはすたすたと門のほうへ歩いていった。門衛達は満足そうに鼻を鳴らす。
が、ほーじくんが門の傍で振り返ってなにか云うと、その表情がかわった。相当慌てている。
ほーじくんは無表情だが、怒っているらしいのはわかった。
そこから、急激に門衛の態度が軟化した。さっと脇に避けて、門を示す。ほーじくんがなにか云ったのが、門衛達にきいたらしい。サーダくんがほっとした様子で、ネクゼタリーさんのローブをひっぱり、ネクゼタリーさんはこっくり頷く。
俺達はぞろぞろと、門をくぐった。
感想ありがとうございます。はげみになります。




