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食事も終わり、俺はテーブルやなにかを片付ける。誰もマルジャン達の馬車からニーバグをおろそうとしないので、つれていくことになったんだろう。別に困りはしないけど……ヨヨとなにか関係のあるニーバグなのか。それとも、ニーバグ同士ということで、安心してとびついたのかも。俺だって、魔物しか居ないところで人間を見付けたら、素性がわからなくてもとびついて泣くかもしれない。
よくわからないまま、俺は片付けを終え、馬車にのった。
そういえば、リャクークを荒れ地へつれてきたひと達は、どうしたんだろう。荒れ地から脱出できたのかな。
馬車に揺られながら、カルナさんとミエラさんが亢奮気味にささやき合っているのを、俺はなんとなく聴いている。意味はわからないが、ニーバグ、と二回聴こえてきたので、あのニーバグの話だろう。
そこから、人間によくなつく魔物だから、もしかしたら駆使されていたかもしれないな、それにしては服はうす汚れていたけれど、なにかの拍子で駆使魔法が解けるなりして逃げてきたのかも、だから群れじゃなかったのかな、とそこまで考えて、リャクークのことに思考がとんでいた。
あのニーバグははっきりしないが、リャクークが飼われていたのは間違いない。
もし、リャクークを捨てて逃げたひと達と、どこかで偶然いきあって、そのひと達がリャクークに気付いたら、どうなるんだろう。リャクークを返さないといけないのかな。それとも、捨てたんだから、拾った俺達に所有権みたいなものがあるということになるんだろうか。いったいどこに帰属するんだろう……。
ユラちゃんが腕を組んで、難しい顔をしている。あのニーバグのことだろうか。
馬車が停まった。外からリッターくんが馬車の扉を開ける。ぼんやりと、どうでもいいことを考えているうちに時間がすぎていたみたいで、外はまっくらだった。
ユラちゃんがひょいっと、魔法の灯をふたつ飛ばしながら、外へ出る。カルナさんとミエラさんがそれに続いた。俺もだ。
また、入門審査的なものがあるらしい。ティヴァインの兄弟が、それなりに立派な塀の途中にある門の前に立っている。ああ、ここも見覚えがあるな。たしか、通行料が必要な筈。
門衛に対して、ネクゼタリーさんは穏やかに、根気強く喋っている。だが、反応は芳しくなかった。サーダくんとほーじくんにはさまれるみたいにして、ニニくんが立っているのに気付く。灯が乏しいのでわからなかった。
カルナさんとミエラさんが走っていった。また、昨日のような無駄なやりとりがあるのかもと考え、俺はうんざりした気分になった。




