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また、うとうとしていた。
馬車が停まって、お午休憩だ。欠伸を嚙み殺しながら外へ出る。そういえば、ダストくんの村には、傭兵が沢山居たな。スキルのロックが外れたら、ダストくんにそのことを訊こう。久し振りとか、そういうことも云わなくちゃ。サーダくんにも、心配させてごめんって謝らないといけないし。
喋りたいこと、訊きたいことは、沢山ある。沢山。
テーブルを出して、食糧を並べる。
お握りと、干し肉、ドライフルーツ、チーズとナッツなど、片手でなおかつ器なしで食べられるものに限定した。ちょっと手が汚れるかもだけど、それは仕方ないことにする。
水分補給の為に、ゴブレットと水差しもとりだす。水差しの中身は、すいかのジュースだ。魔法で出したお水であっても、ゴブレットがあったほうが飲みやすい。
ユラちゃんがぴょんと跳びはねるみたいにしてやってきて、お握りを確保している。田舎料理、と云っていたわりに、ユラちゃんはお握りを結構食べる。というか、彼女、好き嫌いが少ないっぽい。どんなものでも食べるんだよね。嫌いだから要らないって、ユラちゃんが云ったこと、あんまりないと思う。
と、叫び声のようなものが響いた。吃驚して、持っていたお握りの包みを落としてしまう。けれど、リッターくんが地面に落ちる前に華麗にキャッチしてくれた。ないすう。
リッターくんはお握りの包みを持ったまま、叫び声のほうへ走っていく。左手にお握りの包みを持ったまま、右手ですばやく剣をぬいていた。お握りにかぶりついていたユラちゃん、御者台をおりてストレッチしていたダストくん、神経質に羽をいじっていたほーじくんも、リッターくんを追って走る。
悲鳴に驚いたのか、まっさおになったニニくんが、サーダくん達の馬車から出てくる。ニニくん、廟に置いていかれたんじゃなかったんだと、ちょっとほっとした。なんか、よかった。なにがいいのか、うまく云えないけど。
ニニくんの後ろから、ネクゼタリーさんもおりてくる。どうやら、今日はネクゼタリーさんは御者をしないようだ。てことは、リッターくん、ダストくん、それにサーダくんが御者ってことか。
ネクゼタリーさんは、怯えた様子のニニくんを両腕で捕まえて、ぎゅっと抱きしめる。ニニくんは硬直していた。でも、ネクゼタリーさんをこわがっていたり、彼の行動をいやがっているふうではない。それは、なんとなくだけど、わかった。
このふたりの関係性が、俺にはやっぱり、うまく理解できないのだった。




