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傭兵と覚しいひと達が、わあっとわいた。俺に頭を下げながら、魔力薬をそれぞれ数粒ずつとり、食堂内に散らばる。
それでわかった。年配の女性は、俺が魔力薬を提供したことを説明してくれて、みんなはそれにお礼を云っていたんだ。で、魔力の足りないひとのところへ、魔力薬を持っていった。
傭兵のひとりが、怪我人の治療をしている少年に、魔力薬を服ませていた。少年はほっとしたみたいに息を吐いている。
似たような光景が、あちこちで見られた。少しくらい役に立てて、よかった。
もともとはユラちゃんのものだから、俺が役に立ったという訳じゃないんだが、それでも安心できたしよかったと思えた。魔力薬買い込んできたユラちゃん、ありがとう。
ほっとした所為か、気がぬけたのか、体が重い。
俺はあいた椅子に座って、だらーっと力をぬいていた。魔力薬はきちんと服んでいる。使役している魔物を呼び出した時って、魔力を消費するらしいから。それに、エクシザだって疲れてるかもしれないし、ほーじくんも心配だ。ちまちま魔力を補いながら、使役しているみんなに譲渡している。
カルナさんとミエラさんは、たらいを運んだり、タオルを配ったり、色々していた。申し訳ないが、俺は手伝えない。どういう訳だか、だるくて仕方ないのだ。腰が重い。
言葉が通じないのが疲れるんだと思う。
表方向から、ぞろぞろと、三十代から四十代くらいのひと達が這入ってきた。
偉いひとなのかな? なんていうんだろう。町長とか、そういうの。
ここの従業員が、ぱっと走っていって、対応している。這入ってきたひと達は、頷いたり、問いかけたりしているように見える。態度は偉そうではなかったけれど、従業員がへりくだっているので、這入ってきたひと達が偉いのだろうなとあたりをつけた。
ティヴァイン、という言葉が聴こえてきて、俺は姿勢を正す。だからって言葉がわかるようにはならないけど、気持ちの問題だ。
表情ではわからない。なにを話しているのか。でも、レフオーブル、ロヴィオダーリ、と、次々に名字がとびだしてきたので、ティヴァインの兄弟やユラちゃん達がなにかしたのは間違いない。彼らが名字に敬称をつけて呼ばれる存在なので、そうなっているんだろう。
ネクゼタリー、というのも聴こえた。
ネクゼタリーさんは祇畏士じゃない。だから、ネクゼタリーさま、とか、そういうふうに呼ばれているんだろう。
なんとなく不公平な気がした。祇畏士が上に置かれているのが。
祇畏士が、自分を犠牲にしてでも世の為に動かないといけないのが。
感想ありがとうございます。はげみになります。




