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唖然とする俺の前で、もっと唖然とするようなことが展開した。ネクゼタリーさんの後ろから、やはりディファーズ系の男性達が出てきて、ネクゼタリーさんの両腕を掴んだのだ。それも、かなり乱暴に。
ネクゼタリーさんは抵抗していたが、相手は体力が高いようで、どうしようもなかった。なにか喚きながらひきずられていく。
ちょっと立ち停まっていたサーダくんが、ニニくんを背負ったまま廟へ這入っていった。ニニくんは、サーダくんには重たいみたいで、ふたり揃って体がかしいでいる。
俺はふたりを追いかけた。が、きざはしのところで、癒し手ふうの男性に制される。
俺の服装とか、髪型の問題ではないと思う。彼は大変に、申し訳なそうにしていた。数回、頭を下げられる。嫌悪のようなものは感じられない。ひたすらに、申し訳ない、というのが伝わってくる。
ほーじくんが彼へなにか云って、俺の手をひき、きざはしをおりた。俺もそうする。癒し手ふうの男性が深く、頭を下げ、多分謝罪する。
俺はほーじくんにひっぱられるまま歩いた。肩越しにしばらく廟を見ていた。
なんとなく理解したのは、ニニくんが運び込まれたのは廟の裏口だということだ。
花壇は、多分、レントの廟の菊園のようなものじゃないかな。この世界では、生花は高値で取引される。廟の収入源になっていることも多いらしい。ロア産におされて最近は減収気味だそうだが、ここのお花も虫食いや病気などは見たところなく、秀品ばかりに感じられる。
切り花は……わからない。お供えだろうか。緑肥にする為に置いてあるのかもしれない。還元して、肥料にするのかもしれない。
裏木戸から、俺達は廟の敷地を出た。馬車は、表から這入って、裏まで移動したんだろう。ここからでは、どうあがいてもあの大きさの馬車は這入れない。
ほーじくんはなにも云わないで、項垂れている。
俺達は廟の裏の通りを、おそらく西へ向かって歩いていた。日が暮れているので、確実ではないが、俺は方向感覚ははっきりしている性質だ。
ほーじくんは絶佳をつかい、かすかに光っている。
なにがあったの、とか、ニニくんは大丈夫なの、とか、訊きたかった。
ほーじくんも説明したいと思ってくれてる筈。
甘い匂いがかすかに漂ってくる。ざわざわと、ひとの声や、気配がする。屋台が並んでいる通りが近いのだろう。この香りは、どこかのお宅が食事を調えている香りだと、以前は思ってたけれど、屋台のものだったらしい。
俺がほーじくんの肩を叩いて、声のほうを指さすと、彼はちょっと笑って頷いた。




