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 俺のくだらない推測はあたっていたのかもしれない。ニニくんが小さな泣き声とともに唸った、その直後、ネクゼタリーさんがリッターくんを突き飛ばして出ていった。

 リッターくんはくるっと一回転して、俺と目を合わせ、ぼそっとなにか云った。なにを思ったのか、馬車内へ這入ってきて、ニニくんの傍へ膝をつき、もそもそと喋る。お祈り……かもしれない。

 リッターくんはニニくんの額に軽く口付けると、さっきの逆再生みたいに綺麗に立ち上がって、馬車を出ていった。

 彼は後ろ手に扉を閉め、俺はそれ越しに、なにか重いものが落ちるような音を聴いた。


 がったん、と馬車が動き始め、俺は座りこんで、転がり落ちそうになったニニくんを支える。ニニくんは涙を流していた。この子は後どれだけ泣いたらいいんだろう。

 どうしてひとりに負担が集中するんだろう。

 馬車はしばらくすると停まった。酷い匂いがする。なんだろう……。

 扉が開いて、ほーじくんとサーダくんが這入ってきた。ほーじくんに手伝われながら、サーダくんがニニくんを背負う。ニニくんはまだ、目を覚まさない。

 ニニくんを背負ったサーダくんが出ていった。ほーじくんが俺の手をひく。俺達は腕を組んで外へ出る。

 酷い匂い、と思ったのは、多すぎる花の香りだった。名前を知らない花が咲き乱れ、その上、切り花がいやがらせみたいにばらまかれている。魔法の灯がみっつ、うかんで、ふらふらしている。

 サーダくんが歩いていく方向を見て、理解した。おそらく廟だ。


 廟とも呼べないような小さな建物だけれど、廟だとわかる。癒し手ふうの、ディファーズ系の男性が、口許を布で覆ってきざはしに立っているからだ。ミューくんが廟で診療をする時の格好に似ている。

 ほーじくんが俺から離れ、その男性へ近付いていって、なにか喋った。男性のかしこまりかたで、やっぱり廟だろうなと思う。祇畏士に対して、どの地域のひとだって丁寧に接するのが普通だけれど、ディファーズ式は丁寧の度合いが違う。

 それにしても、なんだろう? この大量の花は。花壇はまだ理解できるけど、どうして切り花をばらまいているんだ?

 ぼーっと考える俺の目に、不満顔のネクゼタリーさんが肩で風を切って出てくるのが見えた。

 彼は、サーダくんへ向けて怒鳴った。今まで、基本的には穏やかな態度を崩さず、ほーじくんが食前の祈りをさぼった時でさえ、声を荒らげたといえまだそこまでではなかったネクゼタリーさんが、もの凄い形相で怒鳴ったのだ。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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