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俺はサーダくんとダストくんへ、とぼとぼ近寄る。
「マオ」
ダストくんが自然に、俺の腰に腕をまわすようにしてひきよせた。ダストくんはサーダくんと目を合わせ、軽く腰をかがめて、どちらも低声で喋る。サーダくんの肩に、ダストくんの髪の毛がひと房、落ちた。サーダくんはかすかに頭を振り、ダストくんは困ったみたいに眉を寄せる。なにか、相談しているんだろうか。
ネクゼタリーさんが言葉を切った。
不気味な沈黙があり、俺はそちらへ顔を向ける。門衛のひとりがニニくんを、まじまじと見ていた。ニニくんは怯えているのがはっきりわかる表情なのに、門衛はじりじりとニニくんに近付きながら、しきりとなにか云う。ニニくんはかたあしをさげる。
ネクゼタリーさんが笑顔でニニくんの肩を抱き、ニニくんの髪を手でさっと、横へおさえた。門衛達はニニくんにずいっと近付いて、額を見詰める。ニニくんは喘ぐような呼吸をしていた。
門衛の片方が、ニニくんの腕を掴んで、ぐいとひっぱった。ネクゼタリーさんの腕から強引にひきはなされて、ニニくんは息をのむ。ネクゼタリーさんが目付きを険しくし、叫ぶみたいになにか云うが、門衛はそれを手で制す。もう片方もニニくんの腕を掴み、手巾をとりだして、魔法でぬらした。それでニニくんの額を、乱暴にこすっている。サーダくんが慌てた様子でネクゼタリーさんに近寄っていき、ローブをきつく掴む。
片方がニニくんから手をはなした。
ニニくんの額は、こすられて赤くなっている。
釈然としないような表情で、手巾を持ったほうが強めに、リッターくんやネクゼタリーさんになにか云っている。ネクゼタリーさんは眉根をよせ、低く云い返す。サーダくんがその腰の辺りに腕をまわし、どうやら暴力沙汰を避けようとしているらしい。
カルナさんとミエラさんはあおくなって、かたまっていた。リッターくんは左手を剣の柄に置いている。いざとなったら、いつでも対処できる、ということだろう。
ほーじくんがゆっくりと、ニニくんの傍まで行こうとするが、まだニニくんの腕を掴んだままの門衛がそれに気付いて手で制した。
ダストくんは俺の腰に腕をまわしたまま、鋭い目で門衛を見ている。低声でなにか云うが、意味はわからない。
ユラちゃんが門衛ふたりを凄まじい目付きで睨んで、低く、脅しつけるような声を出す。実際、脅したのだと思う。彼女が喋ると、門衛達はびくっとして、一瞬怯えたみたいだったから。
ニニくんが悲鳴をあげた。




