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ちょっと外に出たら、と云えることができればいいが、俺はなにも喋れない。だから、手振りで外を示すけれど、誰も外へ出ようとはしなかった。不機嫌そうにまるくふくらんでいるエクシザでさえも、だ。
やっぱり、人目に触れたらなにか、よくないのかな。たしかに、ホートリットはもの凄く強くて、倒すことが難しい魔物らしいし、知っているひとが警邏隊を呼んでしまうかもっていうのは、ある。
俺がステップでぐずぐずしているからか、エクシザが迷惑そうにけんと鳴いた。それからしきりと、羽繕いする。たまに俺を睨むようにしていた。羽繕いをするからはなれてくれとか、そういう意味なのかな。
俺は結局、ステップをおりた。俺が見ている限り、エクシザは目の前に置かれたお肉の塊に、くちばしをあてることさえなかった。
人間も食事をとらないといけない。俺は馬車のすぐ近くに、テーブルを出した。椅子は出さない。結構、人数が多いから、全員が着席するとなると大きなテーブルが必要になってしまう。なので、小さめのテーブルを出して、その上に食糧を並べるだけだ。
お野菜たっぷりのサンドウィッチと、ローストビーフのラップサンドウィッチにした。食器を出したり仕舞ったりが面倒だし、ややこしいことをするだけの体力は残っていない。食べたら包み紙を回収すればいいだけのサンドウィッチに逃げたのだ。水分に関しては、俺以外は自力でどうにかできるひとばかりなので、今回は出さなかった。タスに関しては、マルジャン達が居るし。
あまり、そういうことに頭が働いてくれていないようだった。なんだか、集中できていないのだ。いろいろなことが起こっていて、気を配らないといけないところが沢山あって、俺はそろそろいろんなものが限界を迎えそうになっているのだろう。
ほーじくんとサーダくんが、喋りながら、どこからかやってきた。馬車の裏側に居たのかな。それとも、俺がぼーっとしていただけで、ふたりが下車してくるのが見えなかったんだろうか。
ほんとに、だから、多分俺は疲れているんだ。ゆっくりしたいと、そんなふうに思っているもの。
サーダくんはまた、不機嫌そうになっていた。ぎゅっと杖を握りしめる両手が、まっしろになっている。ほーじくんはほーじくんで、まじかみをたて、兄を軽く睨んでいた。
俺はサンドウィッチの包みを幾つか抱え、魔法で火を出しているユラちゃんの近くまで歩いていく。リッターくんがほーじくんを呼んだので、サンドウィッチのことは伝えてくれるだろう。




