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たまに、この世界のひと達は荒れ地から目を背けているな、と思う。
荒れ地近くの村のひと達や、荒れ地で手にはいる薬材をほしがっているひとを除いた多くが、荒れ地はよくわからない、普通の人間が近寄ってはいけない場所、として認識している。多分。
なんていうのかな。危険で、神さまの領域、みたいに捉えている気がする。だから人間があえて近寄る場所ではない、と。
裁定者が質問をする時に、「ーー者」系特殊能力を持っているひとについては訊くのが危険だという、あれに近い。神さまのことは不用意に触れてはいけないし、嗅ぎまわるような真似をしてはならない。失礼だし、自分が危険な目にあうかもしれないからだ。
もしかしたら、馬車の邪魔になるからとタスに還元してもらっていた骨のなかには、人間のものもあったのかもしれない。荒れ地やその近くで死ぬのがいいと、そういう考えも、宗教的に存在するみたいだから。
トゥアフェーノ達はダストくんにドライフルーツをもらい、ご機嫌で鳴いている。ダストくんの手を舐めたり、顔をダストくんの肩の辺りに擦り付けたり、もうなついた様子だった。ダストくんてほんとに、トゥアフェーノの扱いがうまい。
ダストくんの顔のひっかき傷は、もうなくなっていた。ニニくんが治療したんだろう。それとも、ヤラが?
ニニくんは、姿が見えない。ネクゼタリーさんもだ。俺はなんとなく、ふたりを目でさがす。
また、ふたりきりになっているのだろうか。どうしてふたりで離脱することが多くあるのだろう。ふたりきりで、なにをしているんだろう。
不安が頭をもたげたが、俺は頭を振ってそれを追い払った。きっとすべて、俺の勘違いなのだ。俺が妙な邪推をしているだけ。
馬車から出るや、ぴょんぴょんしていたユラちゃんが、魔物達の馬車へ突撃をかけた。音をたてて扉を開き、なかへ這入る。
いれかわるみたいにヨヨがとびだしてきて、ステップを利用して大ジャンプし、地面へころっと着地する。それから、近場に居たリッターくんの脚にしがみついてしまった。リッターくんはヨヨを見下ろし、ちょっと考えるみたいな間を置いて、ヨヨの頭を軽く撫でる。
ヨヨ、なんだかユラちゃんだけ、苦手にしてるよね。多分ヨヨを封印したであろうほーじくんにも、それなりになついているのに、ユラちゃんだけはこわがってる。なにかあるのかな。もしかして、封印されてた間に、ユラちゃんみたいな子に追いまわされたりしたのかも。
あ、いや、普通に追いまわされるだけでもこわいし、ユラちゃんがそれをしているように見えたら逃げるか。




