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ハイオスタージャ家が改易されていてもされていなくても、ニニくん達が戻った場合のメリットはデメリットよりも凄く小さい。
俺がディファーズのやりかたや神聖公の思想、神聖公の周囲の思想がきらいというのもある。だいきらいだ。
ひとを脅し、しばりつける為に宗教や信仰心を悪用するのは、誰であろうと好きじゃない。そういう人間にも天罰をくだせばいいのに、そういうのに対してはこちらの世界の神さまは甘い。
ディファーズが主がどうの神がどうのと声高に叫ぶ要因になるだろうし、ニニくん達がそういうのに利用されるのがいやだというのは、たしかに思っている。ニニくん達の気持ちもあんまり考えてはいない。それは俺のエゴだし、自覚はしてる。
でも単純に考えて、ニニくんの精神状態にもの凄く悪影響だと思う。勿論、カルナさんやミエラさんにだって、悪い影響はある、と思う。
主の威光で助かりました、と話をすることそれ自体は、もしかしたらセーフかもしれない。三人ともが本当に、心底からそう考えているのなら。
だが三人とも、そもそも訳のわからない罪で捕まり、荒れ地へ送られたのだ。
しかも、ニニくんが癒し手になりたがらないと告発した誰かは、多分今ものうのうとディファーズで生きている。ハイオスタージャの内部の人間である可能性は高い。だって、ニニくんが御山へ提出した書類の内容を、断片的にかもしれないが知っている。
ニニくんは、このひとならばそれを知っていると、幾らかは把握している筈だ。もしかしたら告発者が誰か、おおよそのところはわかっているかもしれない。その状態で、告発者もしくはその可能性がある人物と、どうやって接したらいいと云うんだろう。
それも、ニニくんにしてみれば、道を誤った自分を正しい方向へ歩かせる為に主がつかわした人物だということになるんだろうか。カルナさんやミエラさんにとっても?
もどかしい。俺は信仰心にうすいみたいだ。わからない。
捕まった時には、今まで親しくしていたひと達は掌を返して、関係がなかったことにした。でも、三人が生きて戻れば、また掌を返して、親友みたいに接してくるひとだって居る。それは間違いない。
そういう諸々が三人には、特にニニくんには、負担になるのじゃないかと思う。ただでさえつらい目にあったのに、その上日和見するいやな人間を沢山見たら、心への負担が計り知れない。




