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ほーじくんが出てきて、俺の腕をひっぱった。にこっとして彼を見る。彼は羽をしょぼんとさせていて、俺の手に貝貨を握らせた。
さっきじゅうたんに置いた数よりは、少ない。俺が移動費を出すことで決まったのかもしれないし、ユラちゃんと俺とティヴァインの兄弟で割り勘、ということになったのかもしれなかった。なんでもいい。
ほーじくんと手をつないで屋内へ戻ると、サーダくんがニニくん達にまざって、カルナさんと喋っていた。カルナさんは心配そうにニニくんを見ている。ニニくんは項垂れて、じっと、動かない。
また、シアナンさんと喋っていたネクゼタリーさんが、そちらへ移動した。ニニくんのすぐ隣へ座って、カルナさんミエラさんに喋りかける。ネクゼタリーさんもサーダくんも、熱心な調子だった。カルナさんとミエラさんは顔を見合わせ、ニニくんになにか云うが、ニニくんは応じない。
ネクゼタリーさんが、ニニくんのせなかを優しく撫でた。サーダくんがそれを横目で見ながら喋る。カルナさんが戸惑い顔で応じる。
雰囲気やなにかから、ニニくん達三人がこれからどうするかについて、喋っているみたいだった。ニニくん達がどう考えているのかが大事だろうし、ディファーズの事情もある。
俺は、サーダくん達と会った段階でもう言葉がわからなかったから、ハイオスタージャ家がどうなっているか知らない。もしかしたら、すでに改易されているかもしれない。そうなったら、ニニくん達がディファーズに戻るメリットはうすいと思う。
というか、俺は正直、彼らにディファーズへ戻ってほしくない。メリットを大幅にうわまわるデメリットがあると思う。
ニニくん達は、荒れ地おくりから助かったのは、開拓者や修復者の加護だと考えてる。そういう言動が何度もあった。
彼らがディファーズへ戻ったら、「荒れ地おくりを決定したひと達が間違っている」ではなくて、「荒れ地おくりにされても改心して神さまを信じれば大丈夫」「荒れ地おくりできちんと反省したから戻ってこられた」になりそうだし、そういうプロパガンダにつかわれると思う。
荒れ地おくりなのだ。いわば、死刑である。
それだけ重い罪ならば、神聖公がその決定に関わっているだろう。少なくとも、日本で云う法務大臣みたいなひとが居て、刑の執行にゴーサインを出した筈だ。ということは、ニニくん達が元気に戻ってくれば、決定した、もしくは決定したひとを任命した神聖公が間違っていた、ということになってしまう。




