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うーん。わからない。
ユラちゃんは呆れた様子だったけれど、怒ってなかったし、ほーじくんは床掃除の途中から、ダストくん達を見てちょっと笑っていたくらいだ。青少年の健全なじゃれあいである。というよりも、子ども同士でふざけあっている感じというか、昔猿山で見た小猿同士の遊びを思い出した。めちゃめちゃ楽しそうでめちゃめちゃ可愛い、ほんわかするやつ。
だが、ナジさんにしてみれば、祇畏士さまに失礼だとか、そういうのがあるんだろう。わからんけど。それで、あんなに怒ったんだと思う。それ以外に理由あるか?
サーダくんはしょんぼりしてしまっている。ナジさんがそれへ、ぺこぺこ謝っていた。次第にその姿勢が低くなり、最終的にナジさんは両膝をついた。膝立ちでサーダくんの右手を掴み、まだまだ謝っている。
あ?
え?
あの格好って、ネクゼタリーさんがニニくんにしてたのと同じだ。
それって、どういうこと?
訳がわからないのだが、サーダくんがなにか云うとナジさんはばね仕掛けみたいに立ち上がって、激しい勢いでぺこぺこし、出ていった。
丁稚さん達がお茶を淹れている。そのうちふたりがサーダくんへ近付いていって、おずおずと話しかけ、俺達の許へつれてきた。
お茶が運ばれ、ユラちゃんがマグを掴みとりながら喋る。カルナさんとミエラさんのことみたい。丁稚さんがなにか返し、身振り手振りした。しきりに同じ方向を指さして説明しているので、どこか別の場所に居るのだろう。ユラちゃんは安堵したみたいな表情になり、数回頷いた。
ほーじくんがちょっとだけ心配そうに、ニニくんのことを口にした。丁稚さん達が笑み崩れる。袖をまくったり肩を叩いたりしているので、この子達もニニくんに治療してもらったんだろうか。
以前、ここに滞在していた頃、還元士さんが腰を壊して動けない、みたいな話を聴いた覚えがある。もしかしたら、この村には癒し手が居ないのかもしれない。癒し手がどれくらい大事か、認識していなかったから、気にもしなかった。
行へついてくる癒し手が、荒れ地近くの村のひと達を治療しているのじゃないかな。行は年中、いつだって誰かがやっているみたいだから、急病人さえ出なければそれで事足りる。急な場合は、伝糸で癒し手を呼ぶことができるだろうし。




