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ほーじくんの食べかたは大正解だった。
とうがらしが少しだけぴりっときいていて、濃い旨味と爽やかな酸味のあるトマトベースのシチューに、甘いデーツジャムのはいったお焼きを割いて、沈め、お匙でちょっと崩すようにしてからすくって食べると、こたえられないくらいおいしい。
お祈りを終えたユラちゃんとリッターくんは、俺とほーじくんがそうやって食べているのを見て、早速真似をした。
ユラちゃんの目がきらきらかがやいた。いやわかる。わかるよ。これはうまい。リッターくんもいつになく食べるスピードがある。
ユラちゃん達よりも少し遅れて、食前の祈りを終えたカルナさんとミエラさんは、ちょっとためらったらしい。だが、ほーじくんがおいしそうに食べているからだろう、真似している。そうしてから、低声でなにか喋っていた。おいしいわね、みたいに話しているのだろう。
俺はもう二杯目。だっておいしいから。
パン生地のところが、発酵させてないやつだからふっくらではなく、かりっとしているのだ。その香ばしさもいい仕事をしている。パイ生地みたいなさくさく感はないが、ポットパイみたいな雰囲気、と云えば伝わるだろうか。それに、デーツのしつこい甘みがトマトの酸味と合わさると、不思議とすっきり、それなのに奥深く感じられる。要するにおいしい。
とは云っても、デーツである。食べすぎたらおなかを壊す。なので、お焼きはみっつにとどめた。シチューだけでもうま。たまにナッツがぽりっとするのが最高だし、なんだろう? 凄く風味のいいあぶらを感じる。牛脂とは違うし、豚脂でもない。山羊か、羊かな。あ、バナナがはいってる。プランテーンじゃなくてバナナ。酸味はこれもあるのかあ。
ユラちゃんが左袖で口許を拭いながら、四個目のデーツジャムお焼きに右手を伸ばしたので、ざるをぱっと両手でとりあげた。頭上に掲げる。
ユラちゃんがこちらへ抗議の目を向けてくる。身振り手振り、それに言葉でも、おそらく抗議された。カルナさん達が身を寄せ合い、シチューの器を抱えて目をかわす。ほーじくんとリッターくんはもぐもぐしながら、ことの成り行きをうかがっている。
度重なる抗議に対しても、俺は頭を振った。ユラちゃんは思いっきり頬をふくらせる。怒ったハリセンボンみたいになっている。
ぶっと音がして、見ると、リッターくんが激しくむせていた。ほーじくんが目を瞠って、シチューの器をがちゃんとじゅうたんの上へ置く。カルナさん達が膝立ちになる。




