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サーダくんがルルさん達になにか云い、パン生地をちぎりとる。サーダくんも参加するようだ。パン生地が手にくっつくのに慣れないらしくて、伸ばすのに苦労している。
言葉が通じなくても、こうやって一緒に作業できるのだと思うと、息苦しさが減る。
パン生地がどんどん減っていった。
さすがに、ルルさんとバドさんは無駄な動きをしない。パン生地にデーツのジャムをくるっとやってすぐに鉄板へ置き、次のパン生地をとる。
その、鉄板へ置く、だって、綺麗に置くのだ。間隔がほとんど同じ。しかも、ふたりとも大体同じくらいのサイズに成型している。重さもさほどかわらないだろう。これなら、サイズが違う所為の焼きむらはなくなる。
俺も、それなりにきちんとできていた。四月の雨亭でこういうの、やってたしな。一日の長である。
サーダくんはあまり、ご飯をつくったりはしないんだろう。苦戦していた。でも、持ち前の几帳面さで、ゆっくりだけれど確実に包んでいく。生地が破れてデーツが出てくるとか、一部が分厚すぎるとか、そういうことはない。
サーダくんにも、この作業はいい影響を与えたみたいだ。にこやかにバドさんやルルさんと喋っている。お喋りしていても手が停まらないのは凄い。
俺は三人のお喋りを、にこにこして聴いていた。意味はわからないが、なにか楽しい話題だろう。でなかったら、こんな表情にならない。サーダくんが少しでも、くらい気分を脱してくれたらいい。
ダストくんが、把手つきのかごを持って戻った。じゅうたんの上に置かれたそれからは、湯気がたっている。サーダくんがはしゃぎ声を出した。中身は勿論、デーツジャムのおやきだ。
パン部分はそれなりにふくらみ、かりっと焼き上がっていた。小麦粉の甘くて香ばしい匂いに、デーツの強烈な甘い香りがまざっている。
ダストくんが収納空間からもうひとつ、かごをとりだした。俺に対してくいっと顎をしゃくるので、収納しろよ、ということらしい。俺は頷いて、かごをひきよせた。収納空間をひらき、中身をざらざらと落とす。バドさんとルルさんがそれを見て歓声のようなものをあげ、それからくすくすした。ダストくんと、俺の収納空間について話している、と思う。
ふたかごとも中身を収納すると、ダストくんはサーダくんになにか云ってからかごを持ち、また出ていった。サーダくんがそれを目で追っている。バドさんとルルさんがサーダくんに喋りかけ、サーダくんははにかんで笑った。
なんだか気分がいい。




