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 ほーじくんがお祈りをしない理由は、まったく思い付かない。

 そもそもだが、俺自身がそんなに「お祈り」という文化に親しんでいない。

 標準的な日本の家庭に育ったつもりなのだが、俺の家では仏壇や神棚に手を軽く合わせるくらいだった。その時だって、具体的にどんなお祈りをしたらいいのか、どんな文言を唱えたり思いうかべたりするのかは、親から聴かされていない。お祈りというよりも、なんとなーく手を合わせているだけだったのだ。

 だから、お祈りを()()気持ちが、最初からいまいち理解できていない。食前の祈りに関しては、ご飯を食べられることへの感謝、という解釈で、いただきますのかなり心をこめたものかな、と思ってはいる。

 一日四回のお祈りに関しては、おそらく一割も理解していない。わからないもん。なにに対する祈りなのか。

 なんだっけ、聖人だか神さまだかの一生を追ったものらしいが、そのひとを知らないし、本を読んでもわからない部分が沢山ある。口承の部分が多いから、だと思う。

 お祈りをする気持ちもきちんと理解できていないのに、それを拒否する気持ちがわかる訳がない。ほーじくんはどうして、ディファーズ人のひんしゅくを買い、神聖公やその周囲に睨まれる危険を冒してまで、お祈りをしないのだろう。

 サーダくんやネクゼタリーさんは、弟といえ、ほーじくんの「問題行動」をどこかへ報告する義務がある筈だ。

 それが祇畏士協会か、神聖公そのひとかは知らないが、できるなら神聖公の耳にいれたくない。

 ほーじくんにまずい立場になってほしくないのに、どうしてほーじくんは危ないことをしてるんだろう。


 お手洗いから戻ると、ティヴァインの兄弟は居なくなっていた。リッターくんもだ。ニニくんがそわそわしているし、カルナさんとミエラさんもお通夜みたいな顔になっている。食事はすすんでいない。

 ユラちゃんはひとり、ざくざくと音をたててクッキーを食べていた。不機嫌そうだが、クッキーはおいしいみたいで、量が減っていくのを恨めしそうに見ている。

 当然だけれど、誰も俺には説明しない。

 すぐに、四人は戻ってきた。ほーじくんの頬がちょっとだけ、赤くなっている。サーダくんかネクゼタリーさんが、ほーじくんの顔を叩いたのかもしれない。そういうのはよくない。お祈りは、強制されてやるものじゃないだろう。

 そもそも、意義が崩潰している気がする。(しゅ)への感謝とか、生きていることを喜んでのお祈りなら、心からやらないといけないのじゃないのか。

 そういうことも俺は理解できていないのだった。


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