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俺は頭領(仮)を睨んでいる。頭領(仮)もこちらを見ている。目の向き的に。すげえ動きするじゃんあの目。
「俺はいいけど、そっちは不利なんじゃないの。どう考えても俺のほうが強いよ」
別に、云い切れる程の確信はない。半分以上、いや八割くらいはったりだ。
ただ、俺はここまでで数頭、レットゥーフェルを戦闘不能に追い込んでいるし(復活してはばたいてこないから死んでいると信じたい)、魔物に対してなら俺は弱くないということはよくわかった。それに、こいつらも多分、状態異常になってるんだと思う。じゃなくちゃ、なんぼ魔王といったって、この数に対応できない。
だから、今ここでなら、俺はこいつらにはそれなりに強い筈。
それに、こいつらにはこういう挑発がきく。
「さすがだな、魔王」
頭領(仮)はきしるような声を出した。口がまともに動かないので、腹話術でも見ているみたいな気分になってくる。お上手ですね。
俺は無事な左袖で顔を拭い、軽く肩をすくめた。鼻から血が流れていたことにそこで気付いた。もう停まっているので、偸利でなんとかなっていたのだろう。腕を切られた時、槍の勢いを殺せずに自分の腕が鼻にあたったんじゃないかな。治ってるからいいけど。
魔王のこと、こいつ、なにか知ってるのかもしれない。さっきも、魔王かどうか訊いてきたし、なにか意味があるのかな。
「さすがっていうのは、よくわからないけど……俺が君らに対して強い職業加護持ちってことは、わかってる?」
「魔王は、魔物に強い」
頭領(仮)はもぞもぞと口許を動かして云った。普通に喋る動きではないんだよな。人間とは喋りかたが違うってことだろうけど、見てると違和感がある。現実かどうかがわからなくなってくる。
「だが、わたし達も、悪しき魂だ。不利なだけではない」
「そ。ご丁寧に、教えてくれてどうもありがとう」
成程ね。やっぱり持ってるんだ、悪しき魂。うえー厄介。きらい。
で、こいつらはそういうの、井で見るのかな。それとも、俺みたいにメニュー画面開けるのかな。
ぼこぼこにしてから訊いてみる?
笑いそうになりながら、もう一度左袖で顔を拭い、頭領(仮)を見据えた。「禍殃、偸利」
頭領(仮)は槍をかまえて突進してくる。俺の脚を狙っているらしい。太腿切られたら失血しそう。「崩潰」
もの凄い勢いでとび退っている。靱帯切れない?
咽にはいってしまった自分の血を咳込んで吐き出した。ぺっとやる。おじさんに叱られるのいやだな。
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