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どうやら、俺に話しかけてきたやつが頭領らしい。それとも、最初のやつが頭領で、それを引き継いだ、かな。
そいつが耳障りな声をたてると、外に居たレットゥーフェル達が一気に飛んできた。そいつが号令をかける立場にあるってことで、だから頭領かなあと思ったのだ。ほかのやつは警戒音みたいなのは出すけど、それで別のレットゥーフェルが動いたり、寄り集まったりはしない。さっきの耳障りな音はなにかしらの合図なのだと思う。
それにしても、迷惑にも程がある。いい加減にして戴きたい。
「まじで卑怯かよ」
喚いた。「大勢で来てはずかしくない訳? 俺、ひとりなんだけど、そっちはこれから何人出てくるの。できたら先に教えておいてくれる? こっちも手加減の準備とかあるしなるたけ優しくしてあげられるようにしておきたいからさ」
ぼろぼろと、挑発の言葉が口からこぼれる。おお、俺って結構弁が立つじゃん。役に立ってるかな。
笑いそうになって、表情をひきしめた。これくらい挑発しないと、お客さんや従業員達が危ない。あいつらの意識を俺に集中させるのが、今できること、そして今やるべきことだ。
「不意打ちとか袋叩きとか、弱者のやることだよね。ああ、そうか、弱いから仕方ないか。レットゥーフェルは軟弱だねえ」
頭領(仮)が奇妙な声をたてた。っていうか、声かどうかわからんから、音を出したが正確か。とにかくなんか音を出した。
俺の侮辱はきいているみたいで、頭領(仮)以外のレットゥーフェルはするするっと俺から離れた。頭領(仮)の背後に控え、槍を片手で持って、はじめからそこにそういうふうに設置されているみたいに、姿勢を正して立っている。どっかで見たことあるような造形してるんだよなこいつら。いわゆる、「怪物」、その像って感じ。
あ……動きを停めてよく見てみたら、服の色とか、かぶとの形状がちょっと違うな。なんかあるんだろうか。階級とか役職とか。
どうでもいいな。
「一対一でやるの?」
姿勢を正し、一回深呼吸してから、低く尋ねた。血の匂いと雨風の匂いが強烈だ。くさい。
頭領(仮)は、ぎょろりとした目で俺を見ている。多分、まんなかの赤い、小さな円が黒目というか、光彩なんじゃないかな。あとはなに? 模様? 赤い同心円はなんなんだろう。たまに、白目にほくろがあるひとが居るけど、そういうこと?
見れば見る程わからんし、奇妙だ。あと頭と比較して目が大きい。鳥みたい。脳みそ、人間より小さいんじゃないかな。頭のサイズは人間に近いのに、目が大きすぎるから。




