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俺達は神聖公国寮の、中庭の芝生に座り、もしくは寝そべって、時間が来るのを待っている。俺とメイリィさんは、少し離れたところで並んで立っていた。
ミューくんはジーナちゃんの膝枕で、うつらうつらしているらしい。ジーナちゃんが規則的にミューくんの額の辺りを撫で、低声でなにか喋っていた。仲睦まじいカップルか、きょうだいのようだ。
リオちゃんがその辺のお花を摘んできて、苦笑するサキくんの髪に飾っている。サキくんはリオちゃんにせがまれ、花冠をあみはじめた。いつか、サキくんにもらった到来花の花冠は、綺麗に編まれていた。サキくんは器用だ。
リッターくんとユラちゃんは、魔法の制御の練習をしていた。ユラちゃんは来年、無事に下山試験にうかったら、時期を見てメティで集中的に魔法を勉強するつもりらしい。護衛のリッターくんも、それまでに護衛の任を解かれていなければ、ついていくそうだ。
二年かあ。短いなあと、御山に来るまでは思っていた。でも、目の当たりにすると、長いなあとも思う。
ほとんどの学生さんが、明確に目的を持って入山してきている。地元ですでに高度な教育をうけている子も、少なくない。もともと御山で教員をしていたひと達が、地元で塾や学校を開いていたりするからな。大概は、そこで勉強してくる。もしくは、もと・教員の弟子が開いた塾に通っていた、とか。
学生さんは、やることが決まっていて、みんなそれに向かって必死で走り続けているのだ。俺だったら、二年間も全力投球なんてできない。二年かけて、試験などは除いてだけど、実るかわからない研究をひたすら続ける子も居るらしい。成果が上がらなくって悔しい思いで下山する子も居る。
二年間をどうつかうかも、先生達は見ているんだろうな。いわば、二年かけて、御山の教職員として相応かどうかの試験をしているようなものだ。実際、志望しなくても、教員にならないかと打診される学生さんも居るらしい。
この子達は、あと一年が過ぎたら、どうなるのだろう。
ほーじくんは、神おろしさん達と一緒に居るらしい。だから、ここには来られない。さっき、ミューくんが云っていた。
祇畏士の学生さん達は下山していったけれど、ディファーズの祇畏士包囲網はまだ、ほーじくんをしっかり囲っているのだ。ぎりぎりまで、俺から遠ざけておきたいのだろう。
本当に、この間、一緒にご飯を食べられてよかった。
ふっと、イアスク卿を思い出した。ほーじくんは、あのひとと一緒に居るんだろうか? なんだか可愛い絵だなあ、と思うと、微笑んでしまった。




