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俺の願いは、思わぬ形で実現した。
できあがったお膳を収納して外へ出ると、ユラちゃんとリオちゃんが来ていて、じゅうたんの上で、ふたりで楽しそうに話していた。内容は、ユラちゃんが図書館で調べていることについてだ。リオちゃんは、悪しき魂について調べるのは許容しているらしく、淡々と話している。
リッターくんがリオちゃんの隣に座って、話を聴いているのかいないのか、ふたりを興味深げに見ていた。目が頻繁に上下するのはなんだろうと思ったが、リオちゃんが動く度に頭のリボンが揺れるので、それを目で追っているらしい。リッターくんはリッターくん。
サキくんはユラちゃんの隣に居て、ふたりの会話にたまに口をはさんだ。サキくんも、よくユラちゃんを手伝っているだけあって、悪しき魂に対して学術的な興味を抱くのは許容しているようだ。
ミューくんとジーナちゃんは、四人から少し離れたところに居て、向かい合って手をとりあい、真剣な表情で話しあっている。
それに、いつものだらんとよれたチュニックを着て、膝がぬけそうなずぼんをはいた、裸足のほーじくんが、芝生の上にぼーっと立っている。俺を見ると、彼は微笑んだ。俺は、ほーじくんを見付けて、立ち尽くした。
御山から逃げる前に、みんなと一緒に会いたいと思っていた、それがかなったのだ。
「マオ」
ほーじくんは嬉しそうに駈け寄ってきたけれど、俺に抱き付いたりすることはなく、優しく手を握ってくるだけだった。抱きしめてくれたらいいのにな、と、ちょっとだけ思う。
そうしてくれたら、もうなにも未練なくいられる気がする。
もしくは、絶対に帰らないと決心できる。
鯛の炊き込みご飯は、尾頭付き。こんぶだしもいれているから、味に深みがある。いつか、神聖公国寮で余った材料をもらって、つくったものだ。鯛を見付けて、それを誰もつかわない状況なら、もらって調理したっていいだろう。
かきたま汁は、三つ葉がなかったので、セルフィーユみたいなものをうかべている。案外、まずくはない。
それから、昆布のつくだ煮。これは張り込んだ。お祝いだし、折角だから高いものを食べてもらいたい。
とりの照り焼きは皮がぱりぱりになるまで焼いてから、ざらめとたまり醤油のたれを絡めている。お皿に盛ってから、レモンの輪切りをのっけた。
あとは、味付けしていないご飯も付け加えておいた。照り焼きチキンと白ご飯、合うし。
デザートはチョコレートで、残念だけどこれはひとりひと粒ずつだ。もうななつだけだった。丁度、俺を除いた人数分だ。




