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「凄いよ、よかったねジーナちゃん」
俺は、さっさと能力証を仕舞いこんでしまったジーナちゃんへ、うわずった声で云った。
「神弓って、弓系の職業では一番凄いんだよね」
「そうですよ。な、ジーナ?」
「そうね。あなたをまもるのに、丁度いいわ」
さめた調子のジーナちゃんに対して、ミューくんが目をぐるりとさせた。
歩きながら、俺とミューくんははしゃいでいたが、ジーナちゃんはそうでもない。
「ねえ、ジーナちゃん、やっぱりミューくんの云うとおりだったね」
「ミューの? どういう意味?」
「だってほら、弓でも一番になる為に、宣言するんだって。本当になっちゃった」
「ああ……」
ジーナちゃんはミューくんとのやりとりを思い出したみたいだが、二度頷いただけで、なにも云わない。
ミューくんは、ちょっとだけ苦いものを含んだ笑い声をたてた。
「やあ、云ってみるもんですね」
「ほんとだよ。ミューくん、全部わかってたみたい」
「わからないですよ。でも、御山がすすめるんだから、ジーナは狩猟士になって損はないと思ってました」
それはそうだ。去年はなんとも思わなかったが、御山のほうからこれにしたらどうかと持ちかけたのだから、その職業になって損な訳はない。
「ねえ、もうこの話はやめましょう」
ジーナちゃんが、飽き々々した、とばかり、右手を軽くあげて俺達を制す。俺とミューくんは目を合わせ、それからジーナちゃんを見る。「もっと騒いでもいくらいなんだぜ」
「そうだよ」
「いいえ。もう充分、祝ってもらったわ」
ジーナちゃんはそう云ってから、ちょっとだけ笑った。「ねえ、それだったら、お祝いにおいしいものをごちそうしてくれない? マオ。ショグーフ先生ばかりおいしいものを食べて、ずるいわ」
ご飯はなにがいいか話しながら、神聖公国寮へ至ると、前庭にリッターくんがつったっていた。離れたところに、いたたまれない様子のサキくんも居る。ふたりとも、ジーナちゃんの宣言が終わったから来たのかもしれない。
「ミュー、ジーナ」
リッターくんがなにか云いかけた。しかし、リッターくんが名前以外のことを口にする前に、いつもなら突然のリッターくんに驚く筈のミューくんが、満面の笑みでリッターくんへ近付いていった。
次の瞬間信じられないことが起こった。ミューくんがリッターくんに抱き付いたのだ。
「ようリッター、祝いに来てくれたのか? ありがとう」
リッターくんは口をゆっくり開けるが、言葉が出てこない。ミューくんは機嫌よく、リッターくんのせなかを叩く。




